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スペシャライズドのeバイクレビュー/インプレ【S-WORKS CREO SL CARBON】

レビュー/インプレ

近年日本でも注目が集まっている「eバイク」市場。各自転車メーカーがこぞって新製品の開発を進める中、日本市場でのeバイク展開に一足早く乗り出した有名メーカーがある。

それが、スペシャライズド(SPECIALIZED)だ。これまでに、3つのカテゴリー・計15車種以上のeバイク(電動アシスト機能がついたスポーツバイク)を展開。他の有名メーカーと比べても、日本のeバイク市場において積極的な動きを見せている。

一台で140万円を超える世界最高峰のeバイクから、30万円台の比較的お手頃なエントリー機まで幅広く展開しているスペシャライズド。

ロード、MTB、クロスの3つのラインナップがある中、今回はeロードバイクである「CREO(クレオ)」シリーズの最高峰モデル「S-WORKS CREO SL CARBON」をお借りすることができた。

早朝から夕方までかけて行った試乗と、他のいくつかのeバイクと比較しながら、インプレッション及びレビューを行っていく。

SPECIALIZED3つのeバイクラインナップ

S-WORKS CREO SL CARBON」の試乗レビューを行う前に、スペシャライズドのeバイクラインナップについて簡単に説明しよう。

先にも述べたが、ロードバイク型の「CREO(クレオ)」シリーズ、MTB型の「LEVO(リーヴォ)」シリーズ、クロスバイク型の「VADO(ヴァド)」シリーズの3つのカテゴリーが存在する。

また、eロード及びeMTBシリーズには、フラッグシップモデルである「S-WORKS」の名を関したモデル、「S-WORKS CREO」と「S-WORKS LEVO」をラインナップ。

CREOシリーズには7車種+S-Works2車種

S-WORKS CREO SL CARBON /SPECIALIZED

「CREO(クレオ)」シリーズには7種類のモデルがあり、最もお値打ちなアルミフレームの「CREO SL E5 COMP」で¥550,000(税込)から。カーボンフレームの最安構成である「CREO SL COMP CARBON」は¥792,000(税込)から、高剛性のFACT 11r カーボン使用モデルでは100万円を超えてくる。

エントリーグレードのカーボンバイクが20万円台から購入できるようになった今、eバイクといえどもアルミフレーム仕様で55万円という価格設定は、やや割高のように感じる。

これは、スペシャライズドのみならず他メーカーも直面している問題のひとつだ。アシストユニットや新設計フレームの開発などに大きなコストが掛かっていることは想像に難くないだろう。

ここまでは通常の「CREO(クレオ)」シリーズだが、これらのモデルの上に最上位モデルとして「S-WORKS CREO SL CARBON」が君臨する。今回は非常に運良く試乗を行うことができたが、私達一般ユーザーにとっては、普通の場合、展覧会かカタログで見るだけの存在と言えよう。

クロスバイク型の「VADO(ヴァド)」では30万円台からのラインナップがあるので、eバイク入門としてはこちらも気になっている次第だ。

次項からはいよいよ、SPECIALIZED S-WORKS「CREO(クレオ)」の試乗機をお借りして一日乗り回してみた所感について述べていく。

S-WORKS CREO SL CARBONの試乗インプレッション

「S-WORKS CREO SL CARBON」 試乗車

まず、アシスト機能OFFの状態で走行してみて一番初めに感じたのは、「フレーム剛性の高さ」だ。車体重量は12.2kgあるものの、SPECIALIZEDが誇る高剛性のFact11rカーボンをフレームに使用しているためか、実際の重量よりも軽く感じるような走行感だ。

フレームだけでなく、ホイールも軽量。SPECIALIZEDが所有するホイールブランドROVAL(ロヴァール)の「CLX50」カーボンホイールを装備しており、足回りも軽量にまとまっている。これらのおかげで、アシスト機能無しでも平地なら普通に走れてしまった。

ホイールはROVALの「CLX50」軽量なカーボンホイールだ。

ジオメトリはかなりアップライドで、ロードバイクというよりは「グラベルロード」に近い印象。長距離のライドや荒れた道での走行におすすめできる。逆に言えば平地での高速走行にはあまり向かないかもしれない。

ホイールのディープリムの空力性能を活かす程のスピードで走る機会がどれほどあるか疑問だが、少なくともホイール自体の剛性確保と見た目の厳つさためには一役買っているだろう。

千葉県有数の漁師町「勝浦」をスタート地点として一日ライドを満喫した。

アシストユニットはBB内部に配置されており、BB付近を見ればeバイクだと気づくことができる。しかし、少し遠目から見るとほとんど普通のロードバイク(またはグラベルロード)に見える。

実際に、B.B.BASEのスタッフさんも、このバイクがeバイクだと気づくのに少し時間を要していた模様。(それよりもこのバイクが135万円(税抜)であることの方が驚かれたが…)

東京の両国から房総半島各所をつなぐサイクルトレイン「B.B.BASE」を利用して勝浦まで輪行。今回は、タイプの異なる3種類のeバイクを乗り比べていく。

今回の試乗ライドでは、サイクルトレイン「B.B.BASE(ビー・ビー・ベース)」を利用して勝浦まで輪行し、その先の起伏に飛んだ海岸線を走ることとした。

「B.B.BASE」は、東京の両国から房総半島(千葉県)の各所をつなぐ特別列車で、あらかじめチケットを購入して乗ることができる。車内には自転車ラックが完備されており、自転車を分解したり輪行袋に入れたりせずに載せられるのが魅力だ。

また、SPECIALIZED S-WORKS「CREO(クレオ)」の他に2種類の異なるタイプのeバイクを用意し、乗り比べを行った。他の2種類とは、カーボンフレームを使用したフルサス街乗りeクロスバイク「BESV(ベスビー) PS1」と、BOSCHの新型eMTBユニットを搭載したCorratecのe-MTB「Corratec E-POWER X VERT CX」だ。

全く異なる種類のeバイクを乗り比べることで、これまで見えてこなかったそれぞれの魅力に気がつくことができた。その所感についても後述していこう。

リアディレイラーはShimanoの XTR M9050 Di2。フロントはシングル。

コンポーネントは、シマノDURA-ACE Di2を中心に、リアディレイラーにはMTB用のフラグシップコンポ「XTR M9050 Di2」をアセンブリ。クランクはフロントシングル仕様のみとなっている。

シフターはDURA-ACE Di2で、ブラケットもかなり小さめで握りやすい。アップライドな姿勢とあいまってバイクコントロールがしやすく、ロードバイク初心者でも問題なく乗れるだろう。

ギア比については、一日乗り回してみたところ全く不快感がなかった。高速域(40km/h)などの走行には適さないが、限られた11速の中でeバイクとして必要な低速〜中速ギアをバランスよく保持している。

タイヤクリアランスは700Cで最大42mm(フェンダー使用時最大38mm)、650Bで最大47mm幅に対応。e-ロードバイクといえども、タイヤ次第では完全に優秀なグラベルeバイクに早変わりする。

今回の試乗ではオンロードが中心だったが、タイヤを履き替えて農道や砂利の敷かれた林道にも突っ込んでみたくなる。

「CREO(クレオ)」はディスクブレーキ&12mmスルーアクスルで、フロント110mm幅、リア148mm幅のBOOST仕様を採用している。

トップチューブ上の2つのボタンだけで、ライド中に必要な全ての操作が可能。スマートだ…

アシストユニットのON/OFF及びアシストパワーの切り替え等の操作は、トップチューブ上に配置された2つのボタンで行われる。下の「電源マーク」を長押しすることでON/OFF、上部の「SPECIALIZEDロゴ」を短く押下することで、三段階のアシストパワーを順に切り替え可能。

LEDインジケータはアシストパワー(上側)と、バッテリー残量(下側)がひと目で分かるようになっている。明るい日中でも問題なく見え、見た目もスマート。デザイナーである筆者から見ても、非常に洗練されたデザインに感じる。

Mサイズの車体に身長178cmくらいの人が乗った時の画像。かなり上体が起きたポジションなのがわかる。

乗り心地は、丁度よい硬さと快適性が両立しているように感じた。流石S-WORKSグレードなだけあって、私が普段乗っているエントリーカーボンロードと比べてキビキビとした操作感が気持ちいい。

コラムとステムの間には、SPECIALIZED独自の衝撃吸収機構「Future Shock 2.0」が搭載されており、快適性も十分。特にハンドルへの衝撃はかなりカットされている印象を受け、路面に追従するような安定したハンドリングはこのバイクの強みのひとつだ。

フロントシングル×リア11速の電動変速コンポーネントは非常に快適。平坦から上りまで問題なく走破できるギア比も絶妙に感じた。

サドルについては同社のS-Works Powerカーボンサドルが付属する。サドルの座り心地もまずますといった印象だが、路面からの衝撃はかなりある方だと感じた。今回の試乗車は28Cのタイヤだったが、もう少し太めのタイヤに交換することで荒い舗装路や農道などでもより快適に走行できるようになるだろう。

今回はロード用の28Cタイヤだが、タイヤクリアランスに余裕があるのがわかる。最大38mmタイヤまで履けるので、使い道はとても幅広い。

今回、3つのeバイクを乗り比べて感じた大きな発見がある。それは、「eバイクのアシスト性能=アシストユニットの性能×フレーム性能」ということだ。

SPECIALIZEDのe-ロードバイク「CREO(クレオ)」e-MTB「LEVO(リーヴォ)」e-クロスバイク「VADO(ヴァド)」全てに共通して使用されているアシストユニット、「SL 1.1 モーター」の最大トルクは35Nmと、小型化と同時にかなりパワーが抑えられている。

今回乗り比べたCorratecのe-MTBのBOSCH製ユニットが最大75Nmであるので、通常ならCorratecの方が圧倒的にハイパワーだと感じると思うだろう。しかし、実際は違った。

平坦の道、緩やかな登り坂など様々な環境で、アシストパワーのみに頼って”足を下ろすだけ”でどちらが早いかを計測した。すると、どの道で比較しても「SPECIALIZEDのe-ロードバイクの方が早い」という結論に至ったのだ。

起きたことをそのまま話そう。他のeバイクと一緒に「CREO(クレオ)」を走らせて、ほとんど自力では漕がない(アシストパワーに頼る状態)で走行した場合、先頭を走る「CREO(クレオ)」と後続のeバイクとの間にだんだん大きな距離が空いていったのだ。

日本の法律において、アシスト機能は時速 24 キロメートルを超えると補助がなくなることが定められている上、スペシャライズドの「SL 1.1 モーター」の方が圧倒的にパワーが少ない。しかしながらこの結果になった理由として、フレーム性能の高さとアシスト機能の優れたプログラムが関係しているのではないかと考察する。

踏み込んだ際の反応速度についても、3つのeバイクの中でスペシャライズドが最もタイムラグを感じなかった。まさに、「自力で走っているかのような」自然なアシストなのだ。

BOSCH製ユニットでは、ペダルを踏み込むと一瞬のラグがあり、そのあと「グイン」とアシストしてくれる。スペシャライズドではそのラグが小さく、「するっ」と加速してくれるような感覚だ。BOSCHの勢いのある加速感もまた楽しいものではあるが、スペシャライズドの自然的で賢いアシストもまた、長く使えば使う程気に入ってしまうような、BOSCHとはまた違った魅力があった。

朝の8時から夕方5時までフルタイムで楽しんだ試乗ライド。B.B.BASEでの輪行も快適で、最高の一日となった。

SPECIALIZED「S-WORKS CREO SL CARBON」の良い点

  • 軽量で性能の高いフレームは、平坦ならアシスト無しでも走れます
  • 魅力的な外観で、一見普通のロードバイクに間違われます
  • 賢い「SL 1.1 モーター」は自然的で気持ちのいいアシストを提供します
  • Future Shock 2.0で快適な乗り心地
  • 高いフレーム性能と相まって、他の多くのeバイクよりも高速
  • 38mmタイヤまで対応で幅広い活躍が期待できます

SPECIALIZED「S-WORKS CREO SL CARBON」の悪い点

  • 高価な価格は、銀行から多くの貯金を崩す必要があります
  • 多くのパーツがカーボン製のため取扱いには少し気を使います
  • バッテリーは自分で外せません、ショップと良い関係を築く必要があります
  • 保管場所に電源がないと充電ができません

S-WORKS CREO SL CARBONのスペック/重量/機能

S-WORKS CREO SL CARBON カラー:グロススーパーノヴァカメレオン/ロウカーボン / SPECIALIZED

スペシャライズドにおける最高峰のeロードバイクであると同時に世界最高レベルのeロードバイクである、「S-WORKS CREO SL CARBON」の試乗インプレッションをお伝えしたが、ここからは基本スペックをおさらいしていく。

クラス最軽量のeロードバイク

軽くて高剛性のFACT 11r カーボンを使用したフレームは、ダンシングでのペダリングパワーを受け止め、コーナリングの安定性を提供するだけでなく、全体的に重量が削減されている。重量は約12.2kgで、現状の製品と比較してもクラス最軽量のe-bikeだ。

軽量で賢い「SL 1.1 モーター」

写真/SPECIALIZED

アシストユニットは市販品ではなく、完璧なライドクオリティを求め生み出された自社開発の「SL1.1 モーター」を採用している。

この軽量なユニットの最大出力は240ワット(最大トルクは35Nm)。小型化により軽量化とバッテリー持ちの向上を実現しており、連続走行距離は130km。長距離ライドも安心してこなせるスペックだ。ペダリングに対する反応速度が高く、非常に賢いユニットに仕上がっている。

スマートフォン(APP STORE/GOOGLE PLAY)で提供されている「Mission Control アプリ」と連携することで、「SL 1.1 モーター」を自分好みにチューニングすることが可能。

また、「SL 1.1 モーター」の中にはあらかじめパワーメーターが内蔵されており、ANT+に対応する機器に対応。ライド時には、トップチューブ上のたった2つのシンプルなボタンによって必要な全ての操作が可能だ。

ルーベにも搭載されているFuture Shock 2.0

スペシャライズドのエンデュランスロードバイク「ルーベ」などにも搭載されている衝撃吸収機構、「Future Shock 2.0」を装備。これにより、路面からの振動を軽減しスムーズな走行が実現可能となっている。

「CREO」はe-ロードバイクと分類されているが、タイヤを履き替えればたちまちグラベルに対応。そもそもジオメトリはグラベルロードそのものだ。

バッテリーは取り外し不可能

320Whのバッテリーはダウンチューブに内蔵されており、BB上に配置されている充電ポートから充電を行う。充電ポートの規格はスペシャライズド専用のものだ。

これはひとつ大きな注意点だが、スペシャライズドのeバイクは多くの他社製品と違いユーザー自身でバッテリーの取り外しができない。

少し不便なのが充電時で、バイクの置き場の近くに充電用ACコンセントがあることを確認しておきたい。多くのユーザーは屋内でバイクを保管しているのでそこまで大きな心配は無いと思うが…。

スペシャライズドによると、公式取扱店に持っていくことでバッテリーの取り外し/交換等のサポートを受けることができるという。

レンジエクステンダーで65kmの距離を追加

写真/SPECIALIZED

「CREO」はダウンチューブに内蔵されているバッテリーでさえ約130kmの走行距離を保持しているが、オプションとして「レンジエクステンダー」(160Wh)を使用することでさらに約65km長く走行できるようになる。

ボトルケージに収まる形状の追加バッテリーで、外観を損うことがない。ロングライドをメインに考えている人にとっては嬉しいオプション品だろう。

SPECIALIZED「CREO(クレオ)」シリーズの価格

スペシャライズド S-WORKS TURBO CREO SL
カラー:GLOSS SUPERNOVA CHAMELEON / RAW CARBON
サイズ:S、M、L
価格:1,350,000円(税抜)

スペシャライズド TURBO CREO SL EXPERT
カラー:CAST BATTLESHIP / BLACK / RAW CARBON
サイズ:XS、S、M、L
価格:900,000円(税抜)

スペシャライズド TURBO CREO SL EXPERT EVO
カラー:BLACK GRANITE / GREEN BLUE CHAMELEON
サイズ:XS、S、M、L
価格:900,000円(税抜)

スペシャライズド TURBO CREO SL COMP CARBON
カラー:PRO BLUE / VIVID PINK / BLACK、SATIN CARBON / HOLO REFLECTIVE / BLACK
サイズ:XS、S、M、L
価格:670,000円(税抜)

スペシャライズド TURBO CREO SL COMP CARBON EVO
カラー:NAVY / WHITE MOUTAINS / CARBO
サイズ:XS、S、M、L
価格:670,000円(税抜)


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