自転車乗りの間で「例のポンプ」として知られている人気の携帯ポンプがあります。「全ての携帯ポンプを過去にする」というコンセプトで開発され、300psi 高圧対応・高圧まで軽いポンピングで空気が入れられる、そしてデザインも格好いい。
LANDCAST(ランドキャスト)
Magic Pump(マジックポンプ)です。
この記事では、ランドキャストから発売されている全種類のマジックポンプを比較しながらレビュー。インプレッションと同時に改めてこの製品のスゴさを実感していくストーリーとなっています。
そして、2021年春現在に発売されている4型(色違い含めると7モデル)の中で、あなたが買うべきモデルはどれなのか?という観点から、おすすめのモデルについても言及していきます。
それでは、まずは私がマジックポンプを初めて知った2年前にタイムスリップしてみましょう。(飛ばしたい方は目次からジャンプ!)
マジックポンプを初めて知った2年前
まずは、ロードバイク乗りの私がマジックポンプを初めて知った2年前のストーリーから。今回、マジックポンプ全型レビューをすることとなった経緯をお話しましょう。
2018年秋。SNSで話題になっていたひとつの携帯ポンプがありました。
ポンピング軽い詐欺じゃないのか?
一般的な自転車用の携帯ポンプといえば、ポンピングが重い(硬い)製品がほとんどです。
「高圧対応」と謳っている製品は沢山ありますが、残念ながらそれらの多くはたいそうな空気圧まで入れられない(入るかもしれないけれど現実的ではない…)というものばかり。実際に買ってみたら「あれ…」という経験を何度もしていたそんな時。
またひとつ新しい携帯ポンプの口コミが、SNSで彼の目を惹いたのです。
LANDCASTマジックポンプ…フロアポンプと同じ高圧まで入れられるだって?ホントかな…
押しても引いても軽い力で空気が入れられる…またまたぁ、嘘じゃないの?
…と疑念の目を向けると同時に、当時Amazonでもベストセラーを獲得、そしてSNS上でも度々話題となっていたことを知り、当時の私はこの製品が大変気になってしまったのです。
使って感じたランドキャストの凄さ
ランドキャスト・マジックポンプの性能をどうしても試したくなってしまった私は、早速実機を入手。2018年に当サイトにてレビューを行いました。
それがこちらの記事です。(まだ読んでいない方は先にご覧ください)
当時のレビューで明らかになったのは、マジックポンプが「他の携帯ポンプとは一線を画したポンピングの軽さであること」
「300psiまで入れるのは流石に大変そうだけど…ロードバイクに必要な空気圧までは簡単に入れられてしまった」というかなり驚きの事実でした。
それは、携帯ポンプのカルチャーショック。
当時私が持っていた「自転車用携帯ポンプ」に対する常識は完全に「過去」のものにされてしまったのです。ーそして時は現在に戻ります。
現在、マジックポンプは4種類ある
レビューを行った2018年当時のマジックポンプのラインナップは1型のみ(シルバー/ブラックの2カラー)でしたが、最近久しぶりにランドキャストの公式サイトを覗いてみたところ、状況は一変していました。
まず、一部の機構がアップデートされ、新型モデルとして2019年にリニューアルが行われていました。
僕が持っているのは既に旧型になっていたのか…。
さらに!!
スタンダードモデルに加え、
●本体サイズが10%小型化された
コンパクトモデル(レビューへ↓)
●空気圧がリアルタイムで分かる
ゲージ付モデル(レビューへ↓)
●CO2インフレーター*が使用できる
CO2ハイブリッドポンプ(レビューへ↓)
が新たに発売されており、計4型(色違い含め7モデル)がラインナップされていたのです。
CO2インフレーターとは、液化二酸化炭素(=いわゆる炭酸ガス)が入った小型のボンベを使用して、タイヤにガスを注入して膨らませる製品です。力を必要とせず高圧まで空気が入れられるため、緊急時のパンク対策として女性ローディやインテリ系ローディから支持を集めています。(INNERTOP調べ)
LANDCASTマジックポンプ2021全型レビュー
繰り返しになりますが、2021年の春現在、一番人気のスタンダードモデルに加え、本体サイズが10%小型化されたコンパクトモデル、空気圧がリアルタイムで分かるゲージ付モデル、CO2インフレーターが使用できるCO2ハイブリッドモデルの計4型(色違い含め7モデル)がラインナップされています。
やっと本題です。現在発売されているLANDCASTマジックポンプの全型を入手しましたので、早速比較していきます。
この4種類、もちろんどれも完成度が高く満足のいく製品になっているのですが、買うならどれにしようか…? と迷う人も出てくるでしょう。それぞれに特徴がるため、用途に応じておすすめのモデルが異なります。
基本機能、それぞれの特徴、価格やおすすめの使用用途に着目して比較していきますので、マジックポンプのモデルで迷った際の参考にしていただければ幸いです。
1)定番!20cmスタンダードモデル
スペック
●最大対応圧:300psi(20bar)
※ロードバイクで必要とされる一般的な空気圧は、6〜8bar/90〜120psi程度です。Bar(バール)やPSI(ポンド・スクエア・インチ)は空気圧を表す単位の一種です。100psi=約7barと概算できます。
●300回ポンピング時の空気圧目安:100psi=300回ポンピングでロードバイクに丁度よい圧に
●サイズ:22×200mm
●重量:100g
●カラー:シルバー/ブラック
●価格:¥2,640(税込)
爆発的に売れている定番品
ランドキャストのマジックポンプが気になっている全ての方の選択肢に入る定番モデルです。2018年6月から発売されていた旧型モデルと比べると、バルブ固定用のレバーが排除され、ねじ込み式に変更されている他、全体的に質感が向上していました。
レバーを排除して機構をシンプルにしたことで、コンパクト化や空気漏れ防止に役立っているように感じます。累計4万個以上売れているマジックポンプシリーズは軽いポンピングと高圧対応が最大の売りですが、その恩恵を最大限受けられるのがこのスタンダードモデル。
「軽いポンピングとはどんなものや?」「どうせ他のポンプとおんなじちゃうんか?」と、マジックポンプの性能を疑っている2年前の私みたいな方…そんなあなたに、まずおすすめしたいモデルです。
2)弟分!18cmコンパクトモデル
スペック
●最大対応圧:300psi(20bar)
●300回ポンピング時の空気圧目安:85psi=ロードバイクに丁度よい圧にするには400回くらい
●サイズ:22×180mm
●重量:90g
●カラー:シルバー/ブラック
●価格:¥2,540(税込)
この2cmの差はとてもデカイ
スタンダードモデルの20cmから長さを10%縮め、18cmになったコンパクトモデル。この2cm、あなたが思っているよりも大きい差があります。 例えば、ツールケースやサドルバッグの中に収納して持ち運びを考えている場合です。
20cmのスタンダードモデルでも、比較的長さのあるツールボトルやサドルバッグには問題なく入れられますが、私の周りで使っている方が多いSHIMANO製の標準的なツールケースには入りませんでした。これにギリギリ収められるのが18cmのコンパクトモデルです。
ああ…もうちょっとだけ小さければ
この中に入れて持ち運べたのに…!
と後悔しないための選択肢がこの「18cmコンパクトモデル」です。ポンピングの軽さはスタンダードモデルと(ほぼ)同等です。ただし、ポンピング1回あたりの注入量が少なくなるため、同量の空気圧まで達するのにより多くのポンピング回数が必要になります。
※ポンピングの必要回数は、スタンダードモデルの1.3倍程度必要になるイメージです。
空気を入れる性能は20cmのモデルよりやや落ちますが、上記のような標準サイズのツールケースや小さめのサドルバッグに持ち運びたいと考えている方には18cmコンパクトモデルをおすすめします。
3)便利!20cmゲージ付きモデル
スペック
●最大対応圧:300psi(20bar)
●300回ポンピング時の空気圧目安:95psi=ロードバイクに丁度よい圧にするには350回くらい
●サイズ:22×200mm
●重量:110g
●カラー:シルバー/ブラック
●価格:¥2,980(税込)
これはね〜、便利ですわな。
ロードバイクやMTBなどのスポーツバイクに乗っている多くの方は、タイヤの空気圧を気にしています。空気圧が違うだけで乗り心地が大きく変わるからです。また、ロードバイクでは比較的高圧の空気圧が必要になるため、エアゲージがついていないと適切な量の空気が入っているかを確認することが難しいです。
そこで便利になるのが、この「20cmエアゲージ付きモデル」。基本構造は20cmのスタンダードモデルとほぼ同じですが、リアルタイムで空気圧を確認できるのが大きなポイントです。
フロアポンプではエアゲージが付いている製品が沢山ありますが、エアゲージ付きの携帯ポンプはかなり珍しいです。最大300psiまで対応しているマジックポンプにエアゲージが付いたことで、トラブル時はもちろん、走行中に空気圧の減少が気になった時や、乗り心地を変化させたい時にも役立つでしょう!
これはね〜、便利ですわな。
サイズはスタンダードモデルよりも若干スペースを取りますがほぼ同じサイズで、価格も340円しか変わりません。携帯ポンプを出先で最大限活用したいと考えている場合には、スタンダードよりもエアゲージ付きモデルをおすすめします。
4)新世代!CO2ハイブリッドポンプ
スペック
●最大対応圧:300psi(20bar)
●300回ポンピング時の空気圧目安:40psi
●サイズ:22×148mm
●重量:83g
●カラー:メタリックブルー
●価格:¥2,780(税込)
使用時に冷たくなるCO2ボンベを掴むためのカバーが付属 滑り止め加工などのディティールは他モデルと同様 ポンプの上部にボンベ用のネジ穴がある 大きさはシリーズ最少の15cm未満 汎用のCO2ボンベが利用可能 流入量はネジの締め具合で調整する(ちょっとコツが必要) ポンプだけで空気をいっぱいにするにはかなり時間がかかる(スタンダードモデルの約3倍)
非常に合理的なベストバイ。
マジックポンプの機構はそのままに、CO2インフレーターの機能が追加されたニュージェネレーションのポンプ。ランドキャスト・マジックポンプの全型の中で個人的なベストバイはこの「CO2ハイブリッドポンプ」です。なぜか…?それは、このモデルのコンセプトが非常に合理的だと感じたからです。
まず、携帯ポンプというのは基本的にパンク等のトラブル時に外出先で使うことが想定されているため、携帯性が非常に重視されます。このモデルは、シリーズの中で最小サイズの14.8cm。このサイズは、他社の携帯ポンプと比較しても最小クラス。
18cmのコンパクトモデルよりもさらに圧倒的な小ささです
次に、ちゃんと空気が入れられるのか?という問題があります。出先でパンクした際に十分な空気が入れられなければ、それを持ち運ぶ意味はありません。
このモデルは、ポンピング一回当たりの空気注入量が少ないためかなりの時間を要しますが、しっかりとロードバイクで必要な相当の空気圧まで入れられます。(実験しました!)
最近はパンク対策に「CO2インフレーター」を持ち運ぶ方が増えています。ポンプのように力が要らないというメリットがあるのですね。反面、出先で注入を失敗したり、2度目のパンクが起きた場合には策が無くなってしまうというデメリットもあります。
CO2ボンベは各通販で5本セット1000円くらいです。
僕が買ったのはこれ。
「CO2ハイブリッドポンプ」なら、緊急時には手動のポンプとしてしっかり機能してくれるため、CO2ボンベがうまく動作しなかった場合や、2度目のパンク時などの保険的な意味でも役立ちます。
実際、パンクが起こることはかなり稀なトラブルです。私のように、CO2インフレーターをメインに使用する方で、万が一の為にポンプも持っておきたい。そんな運用を考えている方にはこの「CO2ハイブリッドポンプ」をおすすめします。
LANDCASTマジックポンプ全4型を比較!
さて、ここまでランドキャスト・マジックポンプの全種類の携帯ポンプを紹介してきましたが、もう一度おさらいとしてこの4モデルを比較してみましょう。
モデル | スタンダード | コンパクト | ゲージ付き | ハイブリッド |
---|---|---|---|---|
商品画像 | ||||
全長 | 20cm | 18cm | 20cm | 14.8cm |
最大対応圧 | 300psi | 300psi | 300psi | 300psi |
300回ポンピング時の空気圧 | 100psi | 85psi | 95psi | 40psi |
販売価格(税込) | ¥2,640 >Amazonで見る | ¥2,540 >Amazonで見る | ¥2,980 >Amazonで見る | ¥2,780 >Amazonで見る |
こんな人におすすめ | 迷ったらこれ | ツールケースやサドルバッグに入れて持ち運びたい方 | 出先でポンプを使う機会が多い方 | CO2インフレーターをメインに使おうと考えてる方 |
個人的なハマり点数 | 80点! | 90点! | 85点! | 95点! |
デメリット | ちょっと大きいかな… | 特になし! | ちょっと大きいかな… | CO2ボンベを買わなきゃいけない/ポンプ性能としては劣る |
20cmスタンダードモデルを選ぶ方
迷ったらこのモデル。サイズがほぼ一緒で340円プラスするとゲージ付きモデルが買えます。そのため、「スタンダードモデルを買うんだったら、代わりにエアゲージ付きモデルを買うかな!」というのが個人的な感想。
ただ、エアゲージ付きモデルはスタンダードモデルよりも若干ですがサイズが大きくなっています。ツールボトル等に入れて持ち運びをする際には注意が必要です。
18cmコンパクトモデルを選ぶ方
持ち運び重視の方で、CO2ボンベの運用を考えていない人は間違いなくこのモデルです。20cmモデルでも入れられるツールケースはあるでしょうが、入るか際どい製品も多いです。
LANDCASTオリジナルのツールボトルが販売されているので、20cmのモデルを選ぶ際はこちらも検討してみてください!
20cmエアゲージ付きモデルを選ぶ方
出先で空気圧調整などポンプを使う機会が多い方、携帯ポンプを使いこなしたい方はこのモデルです。ラテックスチューブやチューブレスタイヤをご使用の方で、ロングライドや日をまたぐライドを計画される場合などにも重宝しそうですね。
持ち運びの際は付属のマウントか、LANDCAST製のツールボトルがおすすめ。
CO2ハイブリッドポンプを選ぶ方
CO2インフレーターデビューをしたい方に。万が一出先でボンベの使用を失敗した場合や、複数回のトラブルにもポンプで対応可能です。
インフレーター機能については空気圧の調節機構はなく、ボンベのネジの緩みを調節して空気注入量を調節します。少しクセのある操作性には注意が必要です。
ランドキャストのアクセサリー
LANDCAST(ランドキャスト)からは、マジックポンプと併せて使いたいオリジナルのアクセサリーが販売されています。特に、20cmのモデルをツールボトルに入れて運用したい方におすすめのケースがありますよ。
ランドキャストツールボトルロング
・突然の大雨から内容物を守る止水ファスナー
・汚れに強いオックスフォード生地
20cmのマジックポンプが入る大容量のツールボトルです。
ランドキャストアシストチューブ
携帯ポンプのポンピングをさらに楽にするアシストチューブです。仏式チューブのみに対応します。また、ランドキャスト以外の携帯ポンプでも使える場合があるそうです。
現在のところ最もおすすめしたい携帯ポンプ
ここまで、ランドキャスト・マジックポンプの全型レビューをお送りしてきましたが、いかがだったでしょうか?自転車パーツやアクセサリーのいくつかには「沼」が存在しますが、携帯ポンプもそのひとつです。
私自身もこれまでにいくつかの携帯ポンプを使用してきましたが、その一種の「携帯ポンプ沼」に終止符を打ってくれたのがマジックポンプでした。そして、安い!これだけ高性能で人気のポンプが、どのモデルも3000円未満で購入できるということが非常に驚くべきことです。
現在のところ僕が他のローディに最もおすすめできる携帯ポンプです。
実際に購入された方は、是非下のコメント欄で感想を教えて下さい!また、ご質問などもお待ちしています。
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