「UCI ワールドツアー」は、世界最高峰のサイクルロードレースのシーリーズ戦です。
ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャをはじめ、世界各地で行われる主要なサイクルロードレースが含まれています。
2020年のUCIワールドツアー
2020年はUCIが認めた全36戦となり、前年度からツアー・オブ・ターキーはUCIプロシリーズに降格、ツアー・オブ・カリフォルニアは資金難のため開催できないこととなりました。
このように、UCIワールドツアーは毎年、若干の入れ替わりがあり、UCIワールドチームはこれらのレースにシーズンを通して参加します。各レース/各順位毎にポイントが設定されており、年間を通して獲得した総合ポイントで争います。(毎年、10月のシーズン終わりに個人、及びチームの表彰が行われます)
2020年の参加チーム(UCIワールドチーム)
2020年のシーズンを戦うUCIワールドチームは以下の19チームです。
- AG2R・ラ・モンディアル (ALM)フランス
- アスタナ (AST)カザフスタン
- バーレーン・マクラーレン (TBM)バーレーン
- ボーラ=ハンスグローエ (BOH)ドイツ
- CCCチーム (CCC)ポーランド
- コフィディス・ソリュシオンクレディ (COF)フランス
- ドゥクーニンク・クイックステップ (DQT)ベルギー
- EFプロサイクリング (EF1)アメリカ合衆国
- グルパマ・FDJ (GFC)フランス
- ロット・ソウダル (LTS)ベルギー
- ミッチェルトン・スコット (MTS)オーストラリア
- モビスター・チーム (MOV)スペイン
- NTTプロ・サイクリング (NTT)南アフリカ共和国
- チーム・イネオス (INS)イギリス
- イスラエル・スタートアップネーション (ISN)イスラエル
- チーム・ユンボ・ヴィスマ (TJV)オランダ
- チーム・サンウェブ (SUN)ドイツ
- トレック・セガフレード (TFS)アメリカ合衆国
- UAE チーム・エミレーツ (UAD)アラブ首長国連邦
2020年の対象レース
そして、2020年に開催予定のUCIワールドツアーレースは以下の通りです。
1月21日〜26日 | ツアー・ダウンアンダー |
2月2日 | カデル・エヴァンス・グレートオーシャン・ロードレース |
2月23日〜2月29日 | UAEツアー |
2月29日 | オムロープ・ヘット・ニウスブラット |
3月7日 | ストラーデ・ビアンケ |
3月8日〜15日 | パリ〜ニース |
3月11日〜17日 | ティレーノ〜アドリアティコ |
3月21日 | ミラノ〜サンレモ |
3月25日 | デ・パンネ3日間 |
3月27日 | E3ビンクバンク・クラシック |
3月23日〜29日 | カタルーニャ一周 |
3月29日 | ヘント〜ウェヴェルヘム |
4月1日 | ドワルス・ドール・フラーンデレン |
4月5日 | ロンド・ファン・フラーンデレン |
4月6日〜11日 | バスク一周 |
4月12日 | パリ〜ルーベ |
4月19日 | アムステルゴールドレース |
4月22日 | フレッシュ・ワロンヌ |
4月26日 | リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ |
4月28日〜5月3日 | ツール・ド・ロマンディ |
5月1日 | エシュボルン=フランクフルト |
5月9日〜5月31日 | ジロ・デ・イタリア |
5月31日〜6月7日 | クリテリウム・デュ・ドフィネ |
6月6日〜14日 | ツール・ド・スイス |
6月27日〜7月19日 | ツール・ド・フランス |
7月5日〜7月11日 | ツール・ド・ポローニュ |
7月25日 | クラシカ・サンセバスティアン |
8月16日 | プルデンシャル・ライドロンドン=サリー・クラシック |
8月16日 | ユーロアイズ・サイクラシックス |
8月31日〜9月6日 | ビンクバンク・ツアー |
8月14日〜9月6日 | ブエルタ・ア・エスパーニャ |
8月23日 | ブルターニュ・クラシック |
9月11日 | グランプリ・シクリスト・ド・ケベック |
9月13日 | グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル |
10月10日 | ジロ・ディ・ロンバルディア |
10月15日〜20日 | ツアー・オブ・広西 |
なぜ、日本ではUCIワールドツアーが行われないの?
上記の対象レースを見ても分かる通り、現在日本でUCIワールドツアーに含まれるレースはありません。これはなぜなのでしょうか。
過去に一度だけ開催されたことがある
歴史を遡ると、やはり「ワールドツアーと言っておきながらほとんどヨーロッパで開催されている」という地域の偏りに関する議論は起きていたようです。
2017年には一気に10つのロードレースがワールドツアーに追加され、 ツアー・オブ・広西(中国)など、やっと「ワールド」ツアーの名にふさわしいシリーズ戦となってきています。
日本だけの話をすると、1996年に、ジャパンカップサイクルロードレースが1996年のみ、UCI・ロードワールドカップ(現在のUCIワールドツアー相当)に取り入れられたことがありました。しかし、それ以来、日本のロードレースがUCIワールドツアーになったことはありません。
日本で行われているロードレースがワールドツアーに昇格する未来は…
日本にもこれらの主要なロードレースがあり、UCIアジアツアー対象としてワンデイロードレースのジャパンカップサイクルロードレース、ステージレースのツアー・オブ・ジャパン、ツール・ド・北海道、ツール・ド・おきなわ、ツール・ド・熊野が開催されています。
しかし、開催規模や予算、知名度や歴史という観点から、これらのレースがワールドツアーに昇格するにはまだ時間がかかるかもしれません。
ツアー・オブ・ジャパンの大会ディレクターを努めた栗村修さんによると、単に日本でワールドツアーが開催されるだけではあまり意味がなく、その際には、日本に最低でも一つの「UCIワールドチーム」と、「10人以上のワールドチームに所属する日本人選手」が誕生して欲しい、と綴っています。
レースだけでなく、日本人選手の世界での活躍が必要
日本でUCIワールドツアーが開催されるためには、日本で行われるレースをどう興隆させていくかも大事ではありますが、それ以上に、日本人選手が世界のロードレース界でさらなる活躍をしていく必要があると思います。
もちろん、現在も世界で活躍する日本人選手はいるものの、他国と比べると圧倒的に少ない割合であり、日本国籍のワールドチームも長らく誕生していません。
単にレースを盛り上げるだけでなく、日本におけるサイクルロードレース全体の盛り上がりや、世界で活躍する選手の育成が伴って、やっと日本での最高峰のレース開催への道が見えてくるのではないでしょうか。
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