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SRAM eTAP AXS は危険?スラムの新型12速コンポ、本当のメリットとデメリット

sram red etap axs ニュース/プレス

sram red etap axs

SRAM RED eTAP AXS

昨年末から話題を巻き起こしているスラムの
新型ロードバイク用コンポーネント、
RED eTAP AXS (スラム レッド イータップ アクセス) 

12速化とトップ10T化による新時代のギアリング、
奇抜な形状のチェーン、新規格のBB。

ロードコンポーネントの新たな章を切り開く
革新的なコンポーネントの登場と、
各メディアは新型eTAPを持ち上げている。

だが、実際には進化と引き換えにした大きな
デメリットがあるのではないか。

東京で自転車メカニックを営むオーナーは警鐘を鳴らす。

 

Youtube で動画を配信している飯倉氏。
時間のある方は、まずは動画をチェックしてみて下さい。

この記事では、この動画を文字で解説し、
補足情報を加えわかりやすく紹介していきます。

 

スラムの新型12速コンポeTAP AXS 3つの特徴

sram red etap axs

12速化によりよりワイドレンジをカバー

12速化と、トップ10T化を可能とする
「XDR」フリーボディがeTAP AXSには採用されている。

これによって従来では実現できなかった
12枚のスプロケットを搭載することが可能になった。

スプロケットの歯が一枚増えたことで
単純に歯数のレンジの広さが向上し、

以前では数種類の構成で分けなければならなかった
歯数のレンジを1つのスプロケット構成で
実現できるようになった。

sram red etap axs

 

トップ10T化がもたらすもの

ロードバイクの従来のコンポーネントでは、
トップギアは11T(歯の数が11つ)が主流だ。

だが新型コンポeTAP AXSでは
トップ10Tを搭載可能としている。

トップギアの歯数が少なくなるということは
単純に考えるとトップスピードが上がるということ。

下り坂での勝負で思いっきり回して
勝負をかける際に活きてくる可能性がある。

プロではない一般のライダーからすると
現状のトップ11Tでさえも有効に使える人は
ごく稀であり、単純に重いギアが搭載できる
ことでの
恩恵はまずないと言っていいだろう。

 

 

機械式変速を廃止。完全なる電動変速コンポ

新型 RED eTAP AXS では、
以前の REDシリーズでは存在していた
機械式変速タイプが消滅。
完全なる電動変速のみのモデルとなった。

実際にプロのロードレースではほとんどの選手が
各社の電動変速コンポーネントを
使うようになっていることもあり、
デメリットというデメリットはないだろう。

sram red etap axs

MTBコンポEAGLE AXSとの互換性を持たせた

RED eTAP AXS と同時にリリースされる
マウンテンバイク向けコンポーネント
「SRAM EAGLE AXS」もeTAP化を果たした
ことで、RED eTAP AXSとの互換性が生まれた。

REDにEAGLEのリアディレイラーと
50Tカセットを組み込むことが可能であったり、
場合によってはEAGLEのシフトボタンも組み込める。

知識の浅いユーザー層からすれば、複雑に
なっているだけのように感じられなくもないが、
そういった意味でのカスタマイズの多様性は
他社の追随を許さないものとなっている。

sram red etap axs

 

全体をコンパクトにし軽量化と剛性がアップ

新型 RED eTAP AXS では、トップ10T化に伴い、
スプロケット歯数が全体的に小さくなっているだけでなく
チェーンリングも歯数が少なくなっている

今まで一般的に使用されてきたチェーンリングの歯数は

53/39、52/36、50/34

であったが、新型RED eTAP AXSでは

50/37、48/35、46/33 

の三種類と、確実に歯数が少なくなっている。
スプロケット・チェーンリング共に歯数を小さくすることで
今までと同じようなギア比のレンジを確保できるという訳。

全体がコンパクトになり素材の使用量を抑えられる
ことで、軽量化と剛性のアップが期待できるだろう。

この点においても、様々なメディアでは
「革新的」「これまでの概念を覆す新世代コンポ」
との評価が下されているようである。

 

全体をコンパクトにすることの大きな弊害

sram red etap axs

クロスレシオに見えて実はワイドレシオという罠

SRAMは、新型eTAP AXSについて
「12速化によってカセットのトップから
ミドル域に渡ってクロスレシオ化を達成」と謳っている。

確かにスプロケットの刃の構成を見る限りは、
今まで歯数が2個飛びに増えていたミドル
レンジにおいて1個飛びになったことで、

スプロケ一枚あたりの変化量が小さくなる
=クロスレシオ が達成された部分もある。

だが、もともと歯数が一枚ずつ増えていた
トップギア周辺ではどうなるかを考えてみたい。

グラフにするとわかりやすいのだが、
同じ一段飛ばしのスプロケットの場合、
フロントのチェーンリングの歯数が少ない
eTAP AXSの方が明らかにスプロケット一段あたりの
ギア比変化量が大きい=ワイドレシオ になっている。

クロスレシオに見えて実はワイドレシオ

高速域で細かい調整ができないとうこと

確かに、見た目上はクロスレシオになっているのだが、
実際に少し考えてギア比を計算すれば
(ワイドだと)わかることである。

トップギア周辺の高速域でワイドレシオ化が
されてしまうというのはデメリットだ。

レース中最も細かい調整が必要な高速域の
場面で細かい調整ができなくなってしまうからだ。

この事実を全面に出したくないのは分かるが、
このありさまで「クロスレシオ化を達成」
と広告してしまうのはいかがなものか。

 

ビックプーリーが有利という流れに逆行している気がする

ビックプーリーは、純正で取り付けられている
標準11Tのプーリーを、より歯数の多いプーリーに
差し替えることでチェーンの湾曲を軽減し、
抵抗を減らすというもの。

効果の程は激変する程ではないにしても
計測値ではかなり効果があると実証されている。

ビックプーリーは少なからず有利という流れは、
ライダー全体の共通認識になっている。

そこで新型 eTAP AXSだ。

トップをさらに小さくするということは
その分チェーンの湾曲が大きくなる

「チェーンの湾曲が少ないほうが有利」という流れ
と逆行していることに多少の違和感を覚える。

ロードバイク ビックプーリー

スプロケの特定の刃だけすり減り交換が必要に

スプロケットとチェーンリングを共に歯数を減らして
コンパクトにするというのがeTAP AXSの基本的な概念。

コンパクトになり軽量化が図れ、剛性が上がる。

しかし、歯数が少なくなるのでスプロケの消耗が
早くなる危険性があることも指摘しておきたい。

例えると、一般的なギア構成で15Tの
スプロケットをよく使う選手がいたとする。

eTAP AXSで同じギア比を再現するためには
14Tや13Tのスプロケットを使用することになる。

歯数が小さいスプロケを多用すれば
歯がすり減るのが早くなり、特定のスプロケ刃のみ
交換が必要になる場面が多くなるだろう。

sram スプロケット ロードバイク

スラムはスモールパーツを適正価格でデリバリーするのか

特定のスプロケの刃のみ交換が必要になった場合、
SRAMは交換パーツを妥当な価格で提供してくれるのか
心配なところである。

日本のシマノであれば、専用ネジ一本から多様な
スモールパーツを適正な価格でデリバリーしてくれる。

これは、他の海外メーカーにはない強みであるのだが、
果たしてSRAMも同じようにスモールパーツを
安定供給してくれるだろうか。

日本へ輸入販売を行う代理店の努力にも大きく
左右される問題であり、現段階では
妥当な価格で供給してくれる確証が持てない。

それ以前にスプロケが一枚ずつ分解できない
仕様である可能性も指摘する。

 

 

技術的にも全く革新的ではない

サンツアー コンポーネント

同じことを最初に行ったのはサンツアー マイクロドライブ

SRAM eTAP AXSと同じことを行ったのは、
SRAMが初めてという訳ではない。

知られている限り最初に行ったのは日本の自転車
パーツブランド「サンツアー」のマイクロドライブだ。

これは今から約30年前に発売された
マウンテンバイク向けコンポーネントで、

それまでトップ12Tが主流だったMTBコンポを11Tへ
フロントのアウターギアが48から42Tにしたもの。

全体的にコンパクトになることで軽量化と剛性アップが期待できる

全体がコンパクトになるのに今まであった
コンポと同じだけのギア比になるから良いよね!
という考え方はSRAMと共通だ。

全体がコンパクトになることで
軽量化と剛性のアップが期待できた。

サンツアー社はこのギア比システムの特許を
出さなかったらしく、すぐに当時から大手だった
シマノが追随してトップ11TのMTBコンポをリリースした。

サンツアー マイクロドライブ

MTBだとアウターがヒットしにくくなるメリットもあった

サンツアーマイクロドライブが販売されたのを
きっかけにMTB界ではチェーンリングとスプロケット
共にコンパクトなドライブトレインが標準となった。

マウンテンバイクにおいては荒れた路面を
走行するためアウターギアが小さい方が地面と
接触しにくくなるメリットがあった

ロードバイクにおいてはワイドレシオのギアは
レースではデメリットとなる場合もあるが、
もともとスプロケットのギア比がワイドなMTBに
おいてはワイドレシオになるデメリットはなかった

 

25年前から発売されているシマノ カプレオ

シマノ カプレオ

トップが9Tの小径車用コンポーネント

SRAM eTAP AXSはトップギアの歯数が10と
なっているが、過去にはトップ9Tの小径車向け
コンポーネントも存在していた。

シマノ 「カプレオ」というコンポで、
25年前から販売されているモデルだ。

コンポとしてはあまり売れなかったらしく
現在ではホイールハブとスプロケットしか
継続販売はされていない様だ。

今でも手に入れようと思えば入手可能なモデル。

シマノ カプレオ

特定の刃のみ交換が必要になった

カプレオはトップが9T、9速のコンポ。

スプロケットの歯数が小さかったことで
特定の刃のみ歯飛びが起き、特定の刃のみ
交換が頻繁に必要になっていたようだ。

シマノであればスプロケ一枚700円などの
妥当な価格で供給してくれるが、

果たしてSRAMがそれをやるかどうかは
怪しいところである。

 

スラム eTAP AXSには危険な布石が沢山

メディアがヨイショしている風潮を感じる
新型SRAM RED eTAP AXS だが、

このように現段階では不明瞭な点が多く、
情報錯誤も見られる。

プロチームでの実機投入での検証は
すでにされていて、高機能なコンポで
あることは間違いないのであろうが、

ホビーユーザーが運用するとなると
また別の問題だ。

スラム レッド eTAP AXS

購入に踏み切る場合は慎重に

以前までは一般のライダーでも複数のスプロケット
を山・平地・ロングライドなどで使い分けていた。

このような文化は、ホビーライダーの間では
薄れてしまっている。

今一度、自分が乗る自転車くらいは自分で管理
できるような最低限の知識を持ち

メディアやメーカーのマーケティングに惑わされる
ことなく消費行動を考える必要があるだろう。

 

参考記事/動画 : 

KIYOSHIIIK SRAM eTAP AXSどうよ!?

cyclowired.jp スラム RED eTAP AXS正式デビュー

コメント

  1. Koc より:

    この動画興味深いですよね。見た後いろいろ計算してみました。飯倉さんの言っていることは半分合っていて半分間違いかと。飯倉さんはリアスプロケットだけでグラフ作っているのでAXSのキモはフロントも小径にしているため、グラフは横軸に速度、縦軸にケイデンスで書かくとよく分かるようになります。ワイドレシオ化しているけどシマノ11sにある中間ギアの谷はちゃんと埋めてきているのでそこはプロもホビーライダーもメリットあると思います。トップ側は1.2%しか広がっていないし最高速はクランク軸のパワーで決まるので誤差範囲だと思います。しかし総取っ替えになるので高いですよね〜

  2. ロード乗りデザイナーSho[ショウ] ロード乗りデザイナーSho[ショウ] より:

    コメント頂きありがとうございます!なるほど…
    発売当初は色々と叩かれていた部分もありましたが、今では多くのモデルでAXSが採用されましたし、おっしゃるとおり誤差の範囲とユーザーは体感しているのでしょうね。

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