2019年も年の瀬に差し掛かろうとしている。各ロードバイクメーカーは前年の春~夏頃からその年の最新モデルを発表するのが習わしだ。そして、遂に各社の2020年モデルの面々が出揃った。
その中でも、やはりPINARELLO(ピナレロ)の2020モデルを見逃すことはできない。今年のツール・ド・フランスも制したピナレロの最新モデルは、ピナレロのアイデンティティーである左右非対称(アシンメトリック・システム)をより強固に保持しつつ、最新のトレンドをふんだんに詰め込んだキレッキレのレーシングバイクが目白押し。
そして。
ピナレロの2020モデルで注目するべきなのはハイエンドバイクに留まらない。PINARELLO(ピナレロ)のカーボンバイクの中では最も安価なモデルであるRAZHA(ラザ)のディクブレーキモデルが発表された。これは、ロードバイク初心者にとって非常に魅力的な選択肢だ。
ディスク対応、ワイドなタイヤクリアランスなど最新トレンドを会得したピナレロの「最強のエントリーモデル」であるPINARELLO RAZHA DISK 2020年モデル(ピナレロ ラザ ディスク)の紹介とインプレッションをお伝えする。
RAZHA DISKの外観
まずは、RAZHA DISK 2020モデルの外観を見ていこう。画像は、手元に実機が無いため、各自転車販売店様の素敵な写真をお借りしています。
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PINARELLO RAZHA DISK 2020
2020年新たに登場した「RAZHA DISK」は、これまで非常に高い人気を誇ってきたPINARELLOのエントリーグレードのカーボンバイク、「PINARELLO RAZHA」のディスクバージョンだ。
コストをかけて新設計されたフレーム
このバイクは、以前のRAZHAにディスクブレーキをポン付けしたような安易なバイクではない。そのフレームとフォークは、ディスク向けに新たに設計され、金型も全く新しいものとなっている。今回、このバイクをリリースするにあたって、ピナレロは相当な労力と費用をこのバイクの製造に費やしたはずだ。
ディスク用に最適化された剛性バランス
ディスクブレーキでは、リムブレーキに比べフォークに大きな負荷がかかる。また、フレームに必要とされる剛性(硬さ)のバランスも変わってくる。
わざわざ左右非対称にしてまで「ライド時のバランス」にこだわるピナレロのことだ。きっとRAZHA DHISKにおいても緻密な剛性バランスで設計してきていることだろう。
基本性能・スペック
PINARELLO RAZHA DISK 2020は、高品質なシマノ105Mix完成車で販売される。フレーム単体での販売はしない方針だ。
モデル名 | RAZHA DISK 105Mix 完成車 |
タイプ | レーシングタイプのロードレーサー |
希望小売価格 | ¥298,000-(税抜) |
フレーム素材 | HighStrength Carbon T600 UD |
フォーク | ONDA® 2V T600 UD ディスク |
カラー | BLACK MATT・NAVY MATT |
サイズ | 44, 46, 50, 51, 53, 54, 55, 56 |
取寄せサイズ | 57, 59 |
メインコンポ | SHIMANO 105 R7000 |
重量 | 約9.1kg(50サイズ/ペダル無し) |
対応タイヤ幅 | 28Cサイズまで |
Di2 | 対応(THINK2システム) |
DOGMAの意思を継ぐレーシングバイク
PINARELLO RAZHA DISK 2020は、レーシング向けのロードレーサーとして位置づけられている。それもそのはずだ。RAZHAは、2013年にチームスカイ / クリス・フルームをツール・ド・フランス個人総合優勝に導いたレーシングマシン、DOGMA 65.1 THINK2の思想を受け継いでいるフレーム。
数年前にレースシーンの最前線で活躍したハイエンドバイクとほぼ同等のジオメトリを持つRAZHA。その思想は、ハンドリングのクイックさや、コーナリングの安定感などといった場面で如実に感じ取れる。
適度なしなりと剛性のバランス
フレーム素材は東レのT600カーボンだ。エントリーグレードのUDカーボン素材で、DOGMAなどで使用されているカーボンと比べて柔らかく、しなりが大きいカーボン繊維が用いられている。
柔らかいカーボンなので、剛性を保つためにチューブの厚みを増やす必要がある。そのため、RAZHAの重量は50サイズで約9.1kgと、他の同価格帯のカーボンバイクと比べると、軽い方ではない。
しかし、そのしなりが活きてくるのが市街地や荒れた舗装路などでのサイクリング。フレームが竹のようにしなることで、ライダーのお尻とハンドルに伝わる大きな振動をマイルドに緩和してくれる作用が働く。
ピナレロのバイクは走ると軽く感じる?
「ピナレロのバイクは、持ったときより実際に走った時の方が軽く感じる」という声は、ピナレロのバイクに試乗した自転車乗りの中で、意外と多くの方が抱く感想だ。
もともと、ピナレロは他の多くのロードバイクメーカーと比べて、さほど重量にこだわらないスタンスを取ってきた。それでも近年のフラグシップ機(F12 X-Lightなど)は非常に軽量なバイクだが。
重量の削減よりもピナレロが重視してきたことこそが、「空力性能」そして「剛性バランス」だ。いまでは空力(エアロ)をロードバイクに取り入れることは必須のオプションだが、昔のロードバイクは、空力的にみれば非常にずさんな設計だった。
そんな時期から空力を意識しつつ軽量化も図ってきたピナレロの方策が、先に述べたようなライダーへの体験をもたらしているのだろう。
ヒルクライム向きではないが街乗りには最適
しなりの大きさと、比較的重いフレーム重量は、レースにおいて重要なシーンであるヒルクライムにおいてはマイナスに働いてしまう。
しかし、一般のホビーライダーが参加するイベントは週末レースやブルベなどがメインだろう。そのようなユーザーや、日常的にサイクリングをする方にとって、DOGMAのような非常に硬いフレームは逆に使いこなしずらい面が出てくる。
28Cタイヤクリアランスが非常に嬉しい
タイヤクリアランスが、旧モデルの25Cから28Cまで対応できるようになったのは非常に嬉しいポイントの1つ。
近年、スポーツバイク業界では「グラベルロード」に代表される、オンロードもオフロードも走破できるようなジャンルのバイクが大流行している。
その流れの影響もあり、太めのタイヤの人気も高まっている。例えば、28Cタイヤは23Cや25Cのタイヤに比べ、乗り心地の良さや多少の荒れた道でも走破できる走破性が高い。
従来のロードバイクでは細いタイヤ幅が主流だったため、25Cまでのタイヤしか装備できない(28Cのタイヤではフォークの内側が干渉してしまう)ことが多かった。
今回のRAZHA DISKではしっかりとトレンドの28C対応を抑えてきたことで、将来的にグラベルカスタムをしたりと、使用用途やカスタムの幅がぐんと向上した。
このような側面に加えて、街中でも安心の制動力を発揮するブレーキが装備されたこのPINARELLO RAZHA DISK。往年のDOGMAの思想を引き継ぐというバイクの系譜・ストーリーから、性能のバランスまで、まさに最強のエントリーモデルと言って差し支えないだろう。
コンポーネントの詳細
レバー | 105 ST-R7020 |
クランク | FC-RS510 50/34T |
フロントディレイラー | 105 FD-R7000 直付 |
リヤディレイラー | 105 RD-R7000 SS |
ブレーキ | 105 BR-R7070 油圧ディスク |
チェーン | 105 CN-HG601 |
スプロケット | 105 CS-R7000 11-28T |
ホイール | SHIMANO WH-RS171 |
ハンドルバー | MOST 6061 ALLOY |
ステム | MOST 6061 AL 4bolt |
シートポスト | MOST TAIL AL Φ31.6 |
サドル | MOST LYNX |
ドライブトレイン(駆動系)については、クランクセット以外は全てが105 R7000で統一されている。105 R7000の変速性能は、ホビーレースにまで耐えうる高い耐久性と、上位モデルと互換性のある11速ということで、非常に使い心地が良い。
また、ブレーキやチェーンまであらかじめSHIMANO 105が付いてくるのも非常に心強いポイントだ。※数年前のモデルではブレーキやチェーンは廉価パーツが付属していた(価格変わらずで、だ)
RAZHA DISK購入後に交換したいパーツ
気が早い?いや、そんなことはないだろう。もしRAZHA DISKを購入したなら、今後交換していくことでバイクの性能を向上できるパーツについて検討していく。
なんちゃって11速クランクがださい
完成車状態で付属してくる「FC-RS510」というのは、完成車の価格を抑えるためのパーツとしてSHIMANOが販売している安価な11速対応クランクだ。
重量・性能的には105グレードよりやや劣る程度で実用的には問題ないが、正直言って見た目が非常に宜しくない。早めに交換したいパーツの1つだ。
付属のMOSTパーツがヘビー級
ハンドルバーやステムの「MOST」というのはピナレロの姉妹ブランドのパーツメーカーだ。見た目は姉妹ブランドだけあって、この完成車に非常にマッチしたものになっている。しかし、付属しているこれらのパーツは、同社のパーツの中で最も安価なグレードであり、非常に重い。
重い分、耐久性は抜群だが。軽量なカーボンパーツなどに置き換えることで、車体全体の重量をかなり軽量化させられる可能性がある。少しずつパーツ交換を楽しんでいただきたい。
まずは付属の重いホイールでトレーニングせよ
また、ホイール「SHIMANO WH-RS171」も同様に、安価で非常に重いホイールだ。交換することで、バイクの走り心地が飛躍する。その飛躍を体験するためには、あなたがもしこのバイクに1台目のバイクとして乗る場合は、少なくとも数ヶ月間は付属のホイールで乗り続けることをおすすめする。
重いホイールを俗に「鉄下駄ホイール」というが、鉄下駄を脱ぎ捨てた時の羽が生えるような体験を是非感じて欲しいからだ。少なくとも、ホイールがこの完成車においてアップグレードの必要性が大きいコンポーネントの1つであることは間違いない。
PINARELLO RAZHA DISKのまとめ
ここまで、ディスク対応、ワイドなタイヤクリアランスなど最新トレンドを会得したピナレロの「最強のエントリーモデル」であるPINARELLO RAZHA DISK 2020年モデルを紹介してきた。
この記事を呼んでくださった方は、この記事のインプレッションを見てどう感じるのだろうか?もしよければ、このすぐ下にあるコメントフォームで、簡単ステップでコメントを残していって欲しい。
街乗りや週末サイクリングを楽しく快適に楽しむのに最適なこのバイク。不足ない性能を持つこのバイクは、レーシングバイクの系譜だけあって、乗り味や操作性も非常に気持が良い!
一台目のロードバイクを選ぶ初心者さん(あなた)にとって魅力的なオプションの1つであることを確信し、キーボードを収めることにする。
参照元サイト
RAZHA DISK | ピナレロジャパン オフィシャルサイト
コメント
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今非常に人気のバイクらしいですよ。迷っている方がいたら、どういうポイントで迷っているのかも教えてください。
3年以上RAZHAに乗っている私がぜひ相談に乗りますよ(笑)
ショウさん、はじめまして。2年前に知り合いからロードバイクを譲っていただき、魅力にはまってきています。
初めて、自分でお気に入りのロードバイクを買おうと思い2019年のRATHA、イタリアンサフィーザブルーに決めつつあるなかで、2020年のDisk版がでてきて、迷っています。
2019年のクランクを105に替えて、チェーンをシマノに、将来的にはホイールも?など、妄想が膨らむ中で、ショウさんのコメントに出会い、またまた迷っています。今、迷っているのは、2019版のカラーだけかもしれません。
3年、ピナレロを乗っているショウさんのアドバイスを聞きたくてご連絡させていただきました。よろしくお願いします。
なっちゃんさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
2019モデルと2020モデル。迷いますよね…ラザは非常に性能のバランスが良いバイクで、フレーム意外のpartsを載せ替えするのが最高に楽しいですよ。
2019の光沢感のある鮮やかなブルー、格好いいですよね。
個人的には、今買うのであればディスク(2020)を購入します。理由は、圧倒的なトレンドです。今後、多くのミドルグレード以上のロードバイクはディスク化する一方だと予測しています。
しかしながら、自転車選びで最も大切にしてもらいたいのがビビッときた感覚や、見た目が気にいるか、というところ。
なっちゃんさんが2019ブルーが一番格好いいと思っているのであれば、その感覚を大事にしてあげてください。それが、一番後悔しない選び方だと思います。
ロードバイク初心者、還暦オーバーです。
現在、PINARELLO RAZHA DISK 2020年モデルのオーナー3ヶ月目。
納車の一ヶ月目。1回目のライド40km、2回目のライド60km、3回目のライド100kmオーバー。走れちゃいました。
3ヶ月目の今では、1日100km超えないと走った気になりません。
ピナレロの何だかも解らず、スタイリングに惚れて購入。知れば知るほど、こんなに凄いバイクだったとは、、、。
他のバイクに乗った事は無いですし、ロードバイクの何たるか、まだまだ解りませんが、とにかく思った通りに走ってくれる、って感じです。
兎に角乗り倒して、それからアップグレードかなって思っています。
初めてのバイク、PINARELLO で良かった、つくづく思います。