ドライバーのあなたは、その車をスクラップにして自転車やバスに乗り換えることで、年間43万円の補助金を受けられるかもしれません。さぁ、イギリスの産業都市「コベントリー」に移住しましょう。
イギリス・イングランドのウェスト・ミッドランズ州にある自動車産業都市である「コベントリー」では、慢性的な交通渋滞を緩和し、大気汚染を改善するためのユニークで思い切った政策を発表しました。
車をスクラップにすると£3,000が支給される
コベントリーでは、公共交通機関、タクシー、自転車シェアを推進し、自動車を破棄するようにドライバーを誘導しようとしています。そして今回発表された構想は、バスや電車、自転車に乗り換えを希望するドライバーに対して、自動車の代替品に使うための資金として最大3000ポンド(約43万円)を支給するというものです。
全体で100万ポンド(約1.45億円)の予算をかけて行われるこの政策は、ウェストミッドランズ交通局(TfWM)にてテストされます。このプログラムに参加する場合、ドライバーは自動車を破棄するように求められ、代わりに1,500〜3,000ポンド(約22万円から43万円)相当の「モビリティクレジット」が与えられます。なお、今回の試行の対象となるのはコベントリーに在住している人のみ。
世界的に自動車削減のムーブメント
世界中の多くの政府は、2008年に始まった世界的な景気後退と同時期程度に、自動車を減らす指針を発しました。これは自動車産業を刺激し、大気汚染の影響が大きい古い車両を排除することを目的としています。
例えばイギリスでは、古い自動車を排気して新しい自動車を購入する人に対し国から2000ポンド(約29万円)の補助金を提供しました。日本でも国土交通省より「エコカー補助金」「エコカー減税」などという形で同様の政策が行われています。
自動車を別のものに置き換える
しかし、今回提案されているコベントリーでの構想は異なります。古いクルマを新しいエコカーに更新するのではなく、それらをバスや電車・自転車など別のものに置き換えることを目指しています。
支給されるモビリティクレジットは、車での移動ではなくバスや電車など、新しいことを試すために使用できます。プログラムに参加した人は、車の運転と維持にかかる時間と費用を節約するだけでなく、都市の交通渋滞や大気汚染の質を改善することに協力できます。
自動車産業都市コベントリーについて
自動車産業の都市:コベントリーには、交通渋滞を含む大きな問題を抱えています。同市の観測対象の道路の98%が、WHOが定めるガイドラインを超える排気量となっているなど、大気汚染も深刻です。また、2015年に市議会が委託した調査によると、市内で自動車で通勤する人が64%に対し、自転車で通勤・通学をしている人はわずか3%でした。
第二次世界大戦後、コベントリーは世界で二番目に大きな自動車生産都市になりました。1970年代までの自動車製造ブームで繁栄の時代を気づいた同市には、ブリティッシュモーターコーポレーション(ミニ)、ジャガー、ルーツグループを含む12の自動車メーカーがありました。これらの自動車工場の影響で、コベントリーは長い期間、自動車の所有率・使用率が非常に高くなっているのです。
まとめ
今回の構想によって、どのような変化が現れるのでしょうか。ちなみに、支給されるクレジットはスマートフォンアプリにて提供され、旅行の予約を行うこともできるのだそうです。日本でもこのようなユニークな政策が行われれば、都心などの道はもう少し快適になるかもしれません。
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