「ロードバイクにはチューブレスってタイヤがあるみたいだけど、一体どんなものなの?」
「チューブレスタイヤには、どんな製品があるのかな…」
そんな疑問をお持ちではないでしょうか。
確かにチューブレスタイヤは、現在多く使われているチューブ入りの「クリンチャータイヤ」と構造が違いますし、チューブレスレディという規格もありますので、ちょっと迷ってしまいますよね。
しかしチューブレスタイヤは、ロードバイク乗りにとって多くのメリットをもたらします。
そこでこの記事では、ロードバイクにおけるチューブレスタイヤのメリット・デメリットや、チューブレスレディも含めたおすすめの製品について、詳しく解説します。
チューブレスタイヤとは
チューブレスタイヤとは、文字通りチューブが無いタイヤです。
現在、主流となっている「クリンチャー」タイプのタイヤには、チューブが必要となります。
一方のチューブレスタイヤは、タイヤの内側にチューブの替わりとなる「エア保持層」が貼り付けられており、チューブが無くても気密性が保たれる仕組みです。
チューブレスタイヤを使用するには、ホイールも専用品を用意する必要があります。
チューブレスタイヤ対応のホイールは、リムの内側にスポーク穴が存在せず、タイヤと同様、空気が漏れない構造となっているからです。
また、タイヤが外れるのを防ぐ工夫として、ビードを保持する部分(ハンプ)が上にせり出しているという特徴もあります。
チューブレスタイヤのメリット・デメリット
ロードバイクとしては比較的新しいチューブレスタイヤですが、近年普及しつつあります。
ここからは、そのメリットとデメリットについて、詳しく解説します。
チューブレスタイヤのメリット
チューブレスタイヤの最大のメリットは、パンクが減ることです。
チューブが無い構造ですので、段差を乗り越える際に起きやすい「リム打ちパンク」が減る点が、特に大きいでしょう。
またチューブレスタイヤは、低い空気圧で運用が可能です。
一般的に、クリンチャーでは7気圧以上の空気圧が必要となりますが、チューブレスタイヤでは推奨される空気圧は5気圧ほどに設定されます。
空気圧を低くすると抵抗が大きくなると思いがちですが、高圧にするとバイクが跳ねてしまうため、実はかえって路面に効率よく動力を伝達できなくなるのです。
また、低圧にしてもパンクのリスクは少なく、さらに乗り心地まで改善されます。
そして、転がり抵抗という視点でも、チューブレスタイヤに分があります。
クリンチャーでは、インナーチューブとタイヤの間に摩擦が生じるため、どうしても転がり抵抗が大きくなると言われていますが、チューブレスタイヤにはチューブがありませんので、これも改善できるのです。
パンク時のエア漏れも、クリンチャーと違って急激に起きないため、転倒の危険も非常に少なくなるメリットもあります。
チューブレスタイヤのデメリット
チューブレスタイヤの最大のデメリットは、タイヤの脱着が難しくなることです。
チューブがないチューブレスタイヤは、リムとビードの間から空気が漏れるのを防がないといけませんので、とても堅牢なつくりになっています。
そのため、ビードも非常に硬く、リムへの装着にはコツが必要となるのです。
特に、タイヤをリムに装着した後、ビードの全周を空気圧でリムにはめ込む「ビード上げ」においてなかなか空気が入っていかず、作業が難航してしまいます。
また、専用のタイヤレバーも必要です。
そして、ロードバイクとしては比較的新しいタイヤのため、まだ製品が出そろっておらず、対応ホイールも含めて選択肢が狭いという欠点もあります。
チューブレスの規格自体も定まっておらず、メーカーによってまちまち。
ホイール自体も高価とあって、移行に躊躇してしまうユーザーもおられるでしょう。
チューブレスレディタイヤとは
チューブレスタイヤには、チューブレス「レディ」というタイプも存在します。
チューブレスレディは、今まで解説してきたチューブレスタイヤとは完全に異なるシステムであり、タイヤやホイールも全く別物。
「レディ(ready)」は英語で「準備できている」と訳されます。
つまり、「完全にチューブレスではないが、チューブレスに準じた運用が可能」だということです。
完全に密閉されない構造となるチューブレスレディのタイヤは、専用品です。
そして、チューブレスタイヤとは違ってタイヤの内側にエア保持層が無いため、空気が漏れないように「シーラント」という液体で膜を張る必要があります。
また、チューブレスレディ対応のホイールにはリム内側にスポーク穴がある製品もありますので、この穴を塞いで空気漏れを防ぐために、別途「リムテープ」を張ることになります。
チューブレスレディタイヤのメリット・デメリット
チューブレスとは、タイヤもホイールも構造が異なるチューブレスレディ。
その違いによって、一体どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
チューブレスレディタイヤのメリット
チューブレスレディの最大のメリットは、タイヤを軽くできること。チューブレスタイヤはシーラントを使わなくても密閉されますが、空気が漏れないようとても頑丈につくられるため、それなりの重量となってしまいます。
それに対して、チューブレスレディはシーラントを使えば密閉できますので、軽くつくることができるのです。
また、タイヤに異物が刺さったとしても、小さな穴であればシーラントが入り込み、自動で修復してくれます。
あくまで応急処置ではあるものの、出先でパンクしてもタイヤの交換なしで帰宅が可能です。
そのため、チューブレスタイヤと比較して、さらにパンクのリスクが減るという利点もあります。
そしてもちろん、低い空気圧での運用や転がり抵抗の改善といった、チューブレスタイヤのメリットも享受できます。
そうした利点もあってか、昨今のロードバイク用チューブレス製品では、純粋なチューブレスタイヤの製品は少なく、市場はチューブレスレディが多く占めるようになってきています。
チューブレスレディタイヤのデメリット
チューブレスタイヤと同様、チューブが不要のチューブレスレディですが、シーラントが必要となります。
このシーラントの扱いが少々面倒なことが、チューブレスレディのデメリットでしょう。
タイヤの内部に注入するシーラント剤には寿命があり、1年ほどで硬化してしまいます。
そのため、定期的なメンテナンスとして、一度タイヤを外し掃除をしなければなりません。
また、スポーク穴を塞ぐリムテープも、劣化のチェックと張り直しが必要です。
さらに、小さな穴は自動修復機能が働きますが、シーラントも万能ではありませんので、大きな穴が空いてしまったり裂けてしまったりした時には、タイヤ自体の交換が必要となります。
そして、チューブレスタイヤと同じく脱着にはコツが要りますので、出先での交換はとても難航するでしょう。
チューブレスタイヤおすすめ3選
ここからは、チューブレス、およびチューブレスレディのおすすめタイヤを紹介しましょう。
まずは、チューブレスタイヤの製品です。
1)【IRC】Formula PRO TUBELESS RBCC
対応サイズ | 700×25c、700×28c、700×30c |
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価格 | 8,360円(税込) |
IRC(井上ゴム)は、14年前からロードバイク用チューブレスタイヤをリリースしている、老舗のメーカーです。
Formula Proには、オールラウンドで使用できる「RBCC」のほか、耐パンク性が強化された「X-GUARD」と軽量モデルの「S-LIGHT」がラインナップしています。
一世代前の製品と比べてコンパウンド性能が強化されており、摩耗レベルや紫外線による劣化に対する性能が2倍以上に向上。
トレッドパターンも、タイヤが回転する方向に縦溝が加えられ、転がり抵抗の低減が図られています。
また、ビードが非常に上がりやすくなっており、初心者でも楽にタイヤの脱着ができると評判です。
2)【IRC】Formula PRO TUBELESS X-Guard
対応サイズ | 700×25c、700×28c、700×30c |
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価格 | 8,360円(税込) |
こちらは、同じIRCの製品である「RBCC」をベースに、パンク性能を強化したタイヤです。
前世代よりゼロベースで設計が一新されており、タイヤサイドまでの全面を「メッシュ耐パンクガード」で覆うことで、耐パンク性を更に向上させています。
また、タイヤが地面に設置する「トレッド面」をワイド化しており、タイヤの弱い部分であるサイドのカットにも耐える性能を持っています。
チューブレスタイヤらしい「しなやかさ」にはやや欠けますが、ほぼパンクしないと評判の1本。
こちらもビードが上がりやすいため脱着が容易であり、初心者におすすめの製品です。
3)【Continental】GrandPrix 5000TL
対応サイズ | 700×25c、700×28c、700×32c |
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価格 | 10,780円(税込) |
定番のクリンチャータイヤとして、多くのロードバイク乗りが愛用するコンチネンタルのグランプリ。
2019年、新たにチューブレスタイヤがラインナップに加わりました。
前作の「GP4000S」はベストタイヤとも呼ばれていた1本ですが、そこからさらに転がり性能や耐パンク性能の向上、そして軽量化も図られた上でフルモデルチェンジ。
グリップ力や乗り心地がいいと高レビューが見られる一方で、脱着についてはすんなりできる人と硬くてなかなか嵌まらない人とで意見が分かれます。
ホイールとの相性が関係するようですが、トータルではバランスに優れた製品です。
チューブレスレディタイヤおすすめ7選
続いて、チューブレスレディタイヤのおすすめ製品を紹介します。
1)【IRC】Formula PRO TUBELESS READY S-Light
対応サイズ | 700×25c、700×28c、700×30c |
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価格 | 8,360円(税込) |
チューブレスタイヤ「RBCC」をベースに軽量化が図られた、IRC史上初となるチューブレスレディ製品です。
軽くつくることができるというチューブレスレディの特性が活かされており、特にヒルクライマーに愛用されるモデルとなります。
軽量タイヤは挙動がピーキーになりがちですが、このモデルは転がり抵抗の軽さと操作性が両立されており、またグリップやハンドリング性能にも優れているため、ダウンヒルや高速でのコーナリング時でも安心です。
重量面で軽量クリンチャーやチューブラーを愛用してきたヒルクライマーにとって、新たな選択肢となり得るチューブレスレディモデルでしょう。
2)【MAVIC】Yksion Pro UST II
対応サイズ | 700×25c、700×28c |
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価格 | 9,350円(税込) |
フランスのホイールメーカー、マヴィックが開発したチューブレスレディ。
この製品は、マヴィックが提唱する「UST規格」に沿い、ホイールとタイヤが一体となってつくられています。
そのため、同社製のホイールとの相性が抜群で、チューブレスレディの利点を引き出すとともに、タイヤ脱着のしにくさやビードの上がりづらさといった欠点を解消できます。
前モデルよりコンパウンドが改善され、耐摩耗性と耐パンク性能が向上している点も見逃せません。
近年のマヴィックホイールはグラフィックもミニマルとなってきており、タイヤもそれに合わせて、ロゴが控えめでシンプルなデザイン。
なお、マヴィックアプリを使えば、自分にとって適切な空気圧を知ることもできますよ。
3)【Vittoria】 Corsa G2.0 チューブレスレディ
対応サイズ | 700×25c、700×28c |
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価格 | 8,800円(税込) |
ヴィットリアは、イタリアの老舗タイヤメーカーです。
ロードレース界において愛用者が多いヴィットリアのロードタイヤには、「グラフェン」と銘打たれた独自のコンパウンドが採用されており、空気の保持性能をはじめ、グリップ性の向上や転がり抵抗の低減などが図られています。
また、コルサには派生モデルとして「CORSA CONTROL」もラインナップ。
こちらは、ヨーロッパのレースで見られる、石畳などの荒れた路面に対応したタフなモデルです。
プロの選手が使い込んでも「ここまで長寿命なロードタイヤははじめて」と言わしめるほどのロングライフを見せますので、ホビーユーザーにはたいへんコスパが高い1本となるでしょう。
なお、シーラントは相性もあり、ヴィットリアのオリジナル製品である「PIT STOP」の使用が推奨されています。
4)【SCHWALBE】PRO ONE TUBELESS EASY
対応サイズ | 700×25c、700×28c、700×30c |
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価格 | 12,100円(税込) |
本場ヨーロッパで愛用者が多いメーカー、シュワルベによるハイエンドモデル「プロ・ワン」。
チューブラーのようなしなやかさを目指して開発された、チューブレスレディタイヤです。
実は「チューブレスレディ」という名称は、商標の関係で一部のメーカーしか使用できず、シュワルベでは独自に「チューブレスイージー」と謳っていますが、製品としては同等のものです。
気になるビード上げのしやすさですが、シュワルベの公式サイト(英語)では、各ホイールメーカーとの「互換性テスト評価」が公表されているため、事前に確認が可能。
当モデルには、かつてチューブラーがラインナップしていましたが、これを廃して投入したという、モーカーの本気度を伺い知れる1本です。
シュワルベ公式サイト・互換性テスト評価
5)【Hutchinson】FUSION5 GARACTIK 11STORM パフォーマンス
対応サイズ | 700×25c |
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価格 | 8,580円(税込) |
フランスが誇る老舗のタイヤメーカー、ハッチンソン。
2006年には、ロードバイク用としては世界初となるチューブレスタイヤを発売しており、ヨーロッパ系のホイールメーカーでは、推奨タイヤメーカーとして有名なブランドです。
Fusion5シリーズは、同メーカーのハイエンドモデルに位置。
開発には約3年の歳月がかかっており、転がり性能をはじめ、グリップ性能、快適性、軽量性、耐パンク・耐久性といった要素が高い次元でバランスされています。
クリンチャーモデルも用意されますが、やはり低圧で運用できるチューブレスレディとあって快適性が高く、特にギャップを乗り越える際のショックの伝わり方が全く異なります。
乗り比べると、もうクリンチャーには戻れなくなる1本です。
6)【MICHELIN】POWER ROAD TLR
対応サイズ | 700×25c、700×28c、700×32c |
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価格 | 8,360円(税込) |
こちらもフランスに本拠地を持つタイヤメーカー、ミシュラン。
ロードバイク用タイヤとして長年、POWERシリーズを展開してきましたが、ついに2020年、同社初となるチューブレスレディの製品をラインナップしました。
当モデルでは、新たに「AIR PROOFテクノロジー」を採用しており、重量を抑えながら走行の軽さや耐パンク性能を実現しています。
トレッドパターンも一新されており、コーナーリング時や雨天時における安定性が向上。
さらに「トレッドウェアインジケーター」を備え、タイヤの寿命が視認できるのも大きな特徴です。
突出した性能はありませんが、死角のない、トータルバランスに優れたタイヤです。
7)【SPECIALIZED】S-Works Turbo RapidAir 2Bliss Ready
対応サイズ | 700x26c、700x28c |
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価格 | 8,800円(税込) |
スペシャライズドは、アメリカのカルフォルニアに本社を置く総合サイクリングブランド。
タイヤだけではなく、ロードバイクやMTB本体やウェア、ヘルメットなども手掛けています。
長年、チューブラーモデルをレースに供給していましたが、2019年のツール・ド・フランスにおいて、チューブレスレディとなる当モデルを投入しました。
この製品は、プロロードレースチーム「ドゥクーニンク・クイックステップ」と共同で開発。
同チームの高い要望に応えているだけあり、チューブラーの上をいく転がり性能や高グリップ性能、そして高い耐パンク性能を併せ持つモデルです。
レース時のメカニックによる整備性にも配慮され、ビードの上がりやすさにも定評があります。
【公式ストア】https://www.specialized-onlinestore.jp/shop/g/g00019-1152/
まとめ
チューブを無くすことで、ロードバイク乗りに多くのメリットをもたらすチューブレスタイヤ。
ホイールへの脱着がしづらいという欠点がありますが、近年ではビード上げが楽にできる製品も増えており、初心者でも手に取りやすくなってきています。
製品には、純粋なチューブレスタイヤとシーラントを使うチューブレスレディがあり、現在では後者のモデルが増えている状況です。
皆さんも当記事を参考に、ご自身の乗り方に合ったチューブレスタイヤを手に入れて、快適なロードバイクライフをエンジョイしてくださいね。
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