え?クロモリってなに?鉄?鉄は錆びやすいし、重いよね
このようなイメージを抱いている方はいませんか?
それは間違いではありませんが、それでクロモリロードバイクを購入検討に加えないというのは、ちょっともったいないと思います。
今回はクロモリロードバイクの魅力、アルミやカーボンとの材質の違いがどのような特徴を生み出すのか、クロモリロードバイクを選ぶときに注目するべきところ、そしておすすめのクロモリロードバイクについてお話しいたします!
クロモリロードバイクの魅力は?
クロモリロードバイクの魅力を一言で言えば、
「格好良さ」
です。究極的なところ、「格好良さ」に尽きます。格好良いというのは主観ですから、「そんなことはない」と言われてしまえば、話はここまで。でも、この記事を読んでいる人はクロモリロードバイクに興味があると思いますので、きっと「格好良い」という気持ちに共感していただけるのではないでしょうか。
クロモリ製のフレームにおけるもっとも大きな特徴はパイプが細いということです。細いパイプで組み上げられた自転車はスリム、スタイリッシュ、スレンダー、スマートという形容詞がぴったりな格好良さがあると思うのです。
特にトップチューブが地面と水平な自転車は最高に格好良いです。トップチューブが斜めになっているスローピングフレームが時代の趨勢です。スローピングしていれば、乗り手の体格に合わせて調整もしやすいです。しかし、トップチューブ水平な自転車は、自分にピッタリだと最高の格好良さとなります。
クロモリ材質の特徴
クロモリというのは、どういった材質なのでしょうか。
クロモリは「クロームモリブデン鋼」の省略形です。つまり、鉄にクロム(Chromium/記号:Cr)とモリブデン(Molybdenum/記号:Mo)を混ぜ合わせることで剛性を高めているわけです。
なお、クロモリ以外にも自転車フレームで用いられている材質にはいくつかあります。マンガンモリブデン鋼、ニッケルクロームモリブデン鋼といったものもありますが、細分化するとややこしいので、これらを総称して “クロモリ製”としています。
以下で、クロモリ材質の特徴について簡単に説明していきます。
クロモリフレームは疲労度が少ない?
一般的に、クロモリフレームの特徴には乗り心地の良さがあげられます。フレームがしなるので、長距離をのっても体への負担が少ないと言われています。
10km、20km程度ではその違いを感じることはできないかもしれません。しかし、50km以上を走ると、アルミやカーボンといった材質の自転車と比べて、疲労度が異なります。
実は、この原稿も100km走った後で書いています。100kmサイクリングしても疲労困憊にならないというように、明確に疲労度の差を感じることができるでしょう。
もっとも、フレーム材質だけで体への負担が決まるわけではありません。ホイール、タイヤ、フレーム設計、フレームサイズ、走行ルートなど様々な要因が関係しています。それでも、総じてみれば、クロモリ製の自転車は疲労が少ないでしょう。
クロモリは長寿命
アルミやカーボンは落車してぶつけると折れたり、ヒビが入って使えなくなってしまうということがあります。ちょっと倒しただけで、アウト!ということもありえます。また、輪行時にぶつけて(ぶつけられて)ダメにしてしまったという話も聞きます。
一方、クロモリ製は壊れにくいです。クロモリ製であれば、折れるよりも曲がります。曲がったものは直すことができます。ヒビが入るということは起こりづらいです。ちょっと乱暴に扱っても、他の材質と比較すると、修復しやすいのがクロモリといえます。
これは輪行をするときに大きなアドバンテージになります。もしカーボンフレームで変に圧がかかってしまいクラックが入ってしまったら、そのフレームは終わりです。しかし、クロモリフレームなら、破断やクラックということは起こりづらく、傷になるか曲がるだけ。つまり直して使えるということですね。
もちろん絶対大丈夫というわけではありませんが……。
クロモリは重い
高級なクロモリフレームは軽いです。しかし、カーボンにはかないません。
105コンポ中心で構成すると、クロモリロードバイクの重量は10kgくらい。パーツグレードを上げて、軽量ホイールを採用すると、もう少し軽くできますが、それでも、8kgくらいまでが限界でしょう。
カーボンであれば、6kg台も可能ですから、やっぱりちょっと重いです。
クロモリは錆びやすい?
鉄ですから、錆びます。ただし、他のロードバイクを扱うのと同じようにしっかりとメンテナンスをしていれば、錆びることはないでしょう。多くのスポーツバイクは室内保管で、掃除もされているとは思います。クロモリロードバイクも同じように保管しましょう。
「湾岸沿いを1日サイクリングしたら錆び錆びになってしまった」ということはありませんので、ご安心ください。それでも、雨天走行をしたら、すぐに掃除をしましょう。
クロモリロードバイクを選ぶときに注目するべきところ
クロモリロードバイクを購入するときにどこに注目すればよいでしょうか。他のロードバイクと同じように、サイズやパーツ構成に注目するのはいうまでもありませんが、クロモリだからこそ注意しなければいけない点を3つあげます。
クロモリ材質の種類
先に述べたように、クロモリロードバイクとは鋼で作られている自転車の総称です。
クロモリではないハイテンション鋼(ハイテン)には注意をしましょう。これはシティサイクルで用いられているものです。ロードバイクモドキと言われる格安で手に入る自転車にも利用されていることがあります。また、エントリーモデルにおいてフォークはハイテンということもありますので、よくカタログを確認しましょう。
50,000円くらいの自転車だとハイテンが利用されていることがよくあるようです。
クロモリといってもいくつかのメーカーがパイプを提供しています。レイノルズ、コロンバス、カイセイ、タンゲといったところが有名です。同じクロモリでも、さまざまな種類があります。
金属の型番と特性についてよくわからなければ、メーカーの公式サイトやカタログに記載されている情報をよく読みましょう。材質だけでなく、レース向け(軽くて硬い)なのかツーリング向け(重いけど柔らかい)なのかという記載があると思います。
クロモリロードバイクすべてが同じではありません。フレームごとに個性があります。
溶接方法
パイプの溶接をどのようにしているかで、見た目の印象が変わります。主に3つの方法があります。
TIG溶接
1つ目はTIG溶接。この方法は、クロモリパイプそのものを溶接して結合します。メリットは最も安価であることです。
完成車のクロモリロードバイクの多くがコストを抑えるためにTIG溶接されています。そして、溶接角度が自由に選べます。(ちなみにアルミフレームはほぼTIG溶接です)
デメリットは熱処理した跡が残るということ。しかし、これをデメリットといって良いのでしょうか。というのも、この熱処理跡が美しいと思う人と、雑と思う人、人それぞれです。溶接跡が綺麗に後処理されている場合もあり、この辺りに職人の実力(機械の実力?)を垣間見ることができますね。
ラグ溶接
2つ目はラグ溶接。この方法は、ラグとよばれる結合パーツ内にロウを流し込みます。ロウ剤は真鍮や銀製で、鉄とは融点が異なります。それを利用して、鉄パイプをくっつけるわけです。ロウ劑=接着剤といえばわかりやすいでしょうか。
ラグ溶接のメリットはなんといっても、ラグのデザインにこだわりを持つことができる点でしょう。どのような形状のラグを用いるかが、もはや芸術的といえます。
ラグのデザインでオシャレに差が生まれます。ラグ溶接をするクロモリフレームならラグのデザインにもこだわりを持ちたいところ。よって、高価なオーダーメイドのクロモリフレームで利用されていることが多いです。
デメリットはラグを追加するので重量が増してしまうことでしょうか。また、ラグの形状によって、パイプ溶接の角度に制限が生まれてしまいます。パイプ溶接角度が柔軟にできないということです。
ラグレス溶接
3つ目に紹介するのがラグレス溶接。「レス」ですから、ラグがない。つまり、ラグを使わずパイプをロウ剤で直接くっつけてしまう方法です。
ラグ接合ではパイプ間の角度はラグの角度に制約がありました。しかし、ラグレス溶接ではラグがないので、自由度が高いのが特徴です。パイプ同士、面合わせをした後、接合面にロウ剤を丁寧に盛っていきます。よって、高度な職人技が必要になります。
どれが良いかというのは好みです。あなたの好みは?
ステムの種類
一般的に、現代のロードバイクはアヘッド式のステムを採用しています。そのため、アヘッド式の方が、ステムの選択肢も多く、サイズ調整も容易に行うことができます。
しかし、一部のクロモリロードバイクでは、スレッド式のステムを採用しています。このステムを選ぶことで、クラシックな外観となり、クロモリの細身のパイプとよく似合います。
2種類のステムを選ぶことができるのも、クロモリロードバイクの楽しさですが、購入後に変更することはできませんので、どちらが好みかよく考えてください。
おすすめのクロモリロードバイク
自らもクロモリロードに乗る筆者が、数あるクロモリロードバイクの中から特におすすめしたいモデルを7つに絞り、それを価格順に並べてみました。
是非、クロモリロードバイクを選ぶ際の参考にしてみてください。
1,GIOS FENICE
¥98,780 (税込)
ジオスブルーと言われる鮮やかな青色が特徴のクロモリロードバイク。なんといっても価格が100,000円を切るのが、おすすめポイントです。サイズも5種類用意されていますので、自分にピッタリのものを選ぶことができそうです。
2,Basso Viper Claris
¥115,500(税込)
REYNOLDS 520 スチールフレームにカーボンフォークを組み合わせ、ロングライドでも快適に走れます。コンポをClarisグレードにしたことで、ぐっと価格を抑えたモデルとなっています。
フレーム素材に妥協していないこのモデルは、パーツ構成をアップグレードすれば、全く別の自転車にもなりそうで、おすすめです。
VIPER CLARIS(ヴァイパー クラリス)をワイズロードオンラインで見る
3,Fuji BALLAD Ω
129,800円(税込)
街中をおしゃれに乗ることを想定して開発されたモデル。ストリートロードバイクがコンセプト。11.5kgとやや重めですが、SORA9速を基本構成としたパーツで、価格が抑えられています。
4,Calamita due+
143,000円(税込)
長年にわたりイタリアを代表するハンドメイドバイク、Tommasini(トスカーナ州)とCasati(ロンバルディア州)を扱ってきた自転車人が日本人向きに開発したクロモリロードバイク。
完成車で9kg前後に重量を抑えているのが魅力的です。フレームチューブにCOLUMBUS CROMORを採用、ダブルバテットのクロモリチューブらしい「軽快な、乗りやすさ」を追求しています。
フレーム塗装も控えめな色を採用。あまり目立たないかもしれませんが、その秘めた実力は長距離を快適に走ることに焦点が当たった自転車で、素晴らしい乗り心地を提供してくれるでしょう。
はっきりいって、お買い得でおすすめです!
5,Raleigh Carlton F
¥195,800(税込)
イギリスのRaleighが送る定番モデルですが、日本ではアラヤが全面的にOEMとして提供しています。レイノルズ631チューブを採用。コンポは最新の105で統一。
ホイールはアラヤ製のリムを採用、ハブまで105グレードになっています。105採用と言われても、クランクは別ということが多い他モデルですが、この自転車は徹底して105で統一されています。
フレームカラーは白、赤、青も選べますが、イチオシはクラブグリーン。遠目には黒ですが、近づくと深緑で光を綺麗に反射する美しいフレームです。また、輪行することを想定したチェーンフックが搭載されているのもおすすめポイントです。
Carltonシリーズは年度によってR、N、Aなど、コンポやホイールの異なるモデルもあります。その中でも、「F」は安定の105グレードで統一されたRaleighのスタンダードモデルといえそうです。
RALEIGH ( ラレー ) CARLTON-F ( カールトン -F )をワイズロードオンラインで見る6,Panasonic ORCC22
298,100円(税込)~
一見クラシックにみえるけれど、それは見た目だけ。細かにオーダーをすることで、ユーザーの好みにあったフレーム塗装やパーツ構成にすることができます。
電動コンポ専用のフレームにすることなどもできるので、まるでクロモリの古い技術と現代の技術が融合した不思議な自転車を生み出すことができます。まさに自分だけの一台を持ちたいという人におすすめです。
7,Tyrell RX
387,000円(税込)〜
ミニベロで有名な日本ブランドTyrellが送り出すクロモリロードバイクです。
受注を受けてから、ひとつひとつ香川県さぬき工場で生産されます。厳密な品質・精度管理体制のもと、職人の手によって作られるこだわりのクロモリロードバイク、それがTyrell RXです。
TIG溶接によるチューブの美しい接合部分を見ていると惚れ惚れとしてきますが、その美しさをひきたてるのがカドワキコーティングによる粉体塗装です。ちょっとぶつけたくらいでは塗装落ちすることもなく、何年経っても色褪せにくい塗装です。もちろん色選択も可能で、長年にわたって美しさを保ってくれる、本当に満足のいくフレームを手にすることができるでしょう。
さいごに:工房オリジナル?
実は、クロモリロードバイクを製作している町工場はたくさんあります。従業員は社長だけというような小規模な工房が国内には無数に存在するのです。もし相性が良ければ、ハンドメイドで自分だけの自転車に出会うことができるでしょう。
気になる方は、是非ハンドメイドのクロモリロードバイクも調べてみてくださいね。リクエストがあれば弊サイトでも特集記事を作成するかもしれません。下のコメント欄にて、この記事への感想やご意見などもお待ちしています。ご覧いただきありがとうございました。
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