Santillo(サンティッロ)RB-01の気になる乗り心地は?【試乗会インプレッション】

レビュー/インプレ

サンティッロのロードバイク[RB-01]の気になる乗り心地は?

SANTILLO TICLI(サンティッロ チクリ)を立ち上げたイタリア出身のデザイナー、サンティッロ フランチェスコさん
SANTILLO TICLI(サンティッロ チクリ)を立ち上げたイタリア出身のデザイナー、サンティッロ フランチェスコさん

神奈川県鎌倉市で創立された新しいバイクブランド「SANTILLO TICLI(サンティッロ チクリ)」ブランド初となる試乗会が、2020年10月24日に湘南江の島駅にて行われました。

サンティッロのロードバイクといえば、特徴的なフレームデザインです。モーターショーに並ぶ高級車を想像させるような流線型フォルムをデザインしたのは、ブランドの創設者で、イタリア出身のプロダクトデザイナーであるサンティッロ・フランチェスコさん。

この特徴的な見た目故に、「乗り心地が気になる」という声を多く聞きます。筆者の私もそのうちの一人でした。Twitterのタイムラインで初めてサンティッロのロードバイク「RB-01」を見た日からというもの、実際に乗って乗り心地を確かめたいという強い思いがありました。

この記事は、サンティッロのロードバイクに興味を持つ同志達に向けた、試乗会レポートです。乗り心地や、フレームデザインについて、写真20枚以上を使ってご紹介します。まるで読者が試乗会に参加しているような、そんな記事を目指して。

8:00〜輪行で会場へ向かう

サイクリストの朝は早い…。とはいっても、津田沼(千葉県)から鎌倉まで、電車で2時間かかりません。「試乗会には自転車で行かなければならない」というしきたりはありませんが、サイクルウェアをまとい、ビンディングペダルを付けた状態で試乗したい場合は、自走もしくは輪行で訪れるのがおすすめです。

津田沼駅のホームに佇む輪行パッケージ

輪行時には、他の利用者の邪魔にならないよう先頭車両もしくは最後尾車両へ乗車するのがおすすめ。今回利用したJR総武線を含め、多くの路線のでは、先頭及び最後尾車両に広めのスペースが用意されています。

本来は車椅子やベビーカーを利用している人が利用できるものですが、今回は他の利用者がいなかった為、このスペースを利用させて頂くことに。

せっかく輪行で行くので、サイクリングも楽しみたい。今回の目的地である湘南江の島駅まで電車(&モノレール)で行くのではなく、「横浜〜湘南江の島」間は自走することに。この間約23km。約1時間半のサイクリングを楽しみながら、試乗会会場である「湘南江の島駅」に到着しました。

11:00〜会場:湘南江の島駅に到着

会場に到着すると、既に多くのライダーで賑わっていました。

試乗会の会場となったのは、湘南モノレール 湘南江の島駅。湘南モノレールは、日本初の吊り下げ式モノレールとして建設され、現在でも我が国に2つしかない吊り下げ式モノレールのうちの1つなのだとか。

さて、その終着駅である湘南江の島駅(神奈川県藤沢市)の入っているビル一階では、既にSANTILLOのロードバイク達が展示されていました。

湘南モノレール「湘南江ノ島」駅構内にRB-01が展示されていた

2020年現在、SANTILLO CICLIからリリースされているロードバイクは「RB-01」1種類。これまでのロードバイクの概念を覆すような珍しいフレームデザインは、地球上で最も速くて美しい動物「チーター」からインスピレーションを受けています。

RB-01のコンセプトやストーリーについては以前の記事でたっぷり紹介したので今回は割愛します。(前回の記事は以下リンクより。)

湘南江ノ島駅となりのスペースにて試乗イベント本会場が設置されていた
様々なカラーの「RB-01」こちらは展示車(試乗不可)

駅構内では展示車両として4色のRB-01が展示されていました。手前からCeleste Classico、Rosso Fuoco、Nero Infinito、そして今後発売される見通しの、ミリタリーテイストの限定カラー。

どのカラーも絶妙な色合いです。他のブランドでは滅多に見られないカラーリングもラインナップ。また、サドルやバーテープもSANTILLOオリジナルで、フレームとのおしゃれな色の組みあわせが提案されています。

RB-01 Azzurro Italia
RB-01 Arancia del Sud
RB-01 Nero Infinito
RB-01 Nero Infinito
これから発売される見通しの、ミリタリーテイストの限定カラーのRB-01。
RB-01のコラム周り。トップチューブとダウンチューブの間には空洞が見られる
RB-01のバックショット。シートチューブ、シートステー部分の構造も極めて独特だ。

SANTILLOのブランド紹介と、創業者サンティッロ・フランチェスコ氏へ直接お話を伺ったレポートはこちらの記事にて。

14:00〜いざ、RB-01に試乗!

試乗中に訪れた江ノ島

さて、ここからが本題です。SANTILLOのロードバイク、「RB-01」に試乗してみます。今回私が試乗したカラーは白(BIANCO PURO)…イタリア語で「真っ白」、英語でいうと「オールホワイト」というところでしょうか。

コンポーネントは機械式(紐)のULTEGRA。ホイールはSANTILLOオリジナルの50mmハイトのカーボンホイールです。今回は、ポジション剛性振動吸収ハンドリング漕ぎ出し登坂性能もがき見栄えの8つの観点から試乗インプレッションを記述してみます。

ポジション「平均的なロードバイク、非常にナチュラル」

ライディングポジションは、非常にナチュラルです。極端に攻撃的な前傾姿勢ではありませんが、どちらかというとレーシング向きのポジションです。決してエンデュランス寄りではないと感じました。しかしながら、他のレーシング向けバイクよりも、ポジションがやや穏やかな印象を受けたのは気のせいでしょうか。

「とにかく、RB-01のポジションは実に自然です。」この意見は、試乗に訪れた他の方とも共感できたので、きっと多くの人が納得すると思います。初心者でも十分安心して乗れるポジションだと思います。

剛性「やはり硬めだが、見た目程ではない」

剛性4.4

剛性は、一言で言えば「硬め」です。そのため、気持ち良い加速感があります。その反面、ハンドルへの突き上げがやや大きいように感じました。(加速/振動について詳しくは後述。)普段、エンデュランスタイプのロードバイクに乗っている方からすると違和感を感じると思います。

「硬い」といっても、プロ選手がレースで使用しているようなハイエンドロードフレーム(DOGMA F12やS-Works Vengeクラス)程ではありません。これらの剛性を「10」とするなら、RB-01の剛性感は「7〜8」くらいに感じます。(※この数値には個人差があるかもしれません。参考適度にしていただければ。)

RB-01フレームのチューブ形状は非常に太く、いかにも「剛性が高そう」な印象がありますが、実際に乗った感じではガチガチに硬すぎる印象はありません。恐らく、形状で剛性を稼いでいる分、カーボン素材のしなりで剛性が調整されているのだと思います。

バイクの剛性は、ホイールによっても大きく左右されます。今回試乗したバイクにはSANTILLOオリジナルのカーボンホイールが装着されていましたが、どうやらこのホイールがかなり柔らかめだったようです。もう一台の試乗車のRB-01(こちらはDT SWISSのカーボンホイールを装備)に乗車したところ、SANTILLOホイールの車体よりも剛性が高く感じました。

「RB-01の剛性」の結論としては、「硬め」。しかし、ホイールやその他のパーツで調整が効くため、長距離仕様にしたい場合は柔らかめのホイールを使用することである程度対応できそうです。逆に、DOGMAやS-WORKSグレード、もしくは硬めのエアロフレームに慣れている人にとっては「ややマイルド」に感じるかもしれません。

振動吸収「細かい振動は吸収するが、荒れた道は避けたい」

振動吸収性3.0

振動吸収性は「あるけど、良くはない」です。路面からの細かい振動はバサッとカットしてくれている印象はありました。しかし、普段エンデュランスバイクに乗っている方からすると、ハンドルへの突き上げが大きいと感じるでしょう。

ハンドルで感じた振動と比べて、サドルへの衝撃は抑えられている印象でした。もしかすると、シートチューブやシートステーの湾曲した形状が振動をいなしているのかもしれません。

総合的な振動吸収性能は、私が普段乗っているPINARELLO RAZHA(レーシングジオメトリで、ミドルグレードのカーボンバイク)と同適度に感じました。アルミバイクからの乗り換えの場合は、「剛性が高いのに振動が少ない!」という印象を受けそうです。

このあたりは相対的なものですので、なんとも言えませんが、結論的に言うならば、「RB-01の振動吸収性能はあるけど、特筆する程良くはない」です。路肩が荒れた道は、できれば走りたくないですね。ただし、RB-01は30mm以上のタイヤクリアランスを備えています。タイヤを太いものに交換することで、乗り心地は格段に良くなるでしょう。

ハンドリング「クイックで楽しい、レース向きな味付け」

ハンドリング4.2

ハンドルを左右に切るとキレよく反応するので、レーシング向けの味付けだと思います。道幅の広い道では「S字にクイクイと曲がって走行したくなる」ような、気持ちの良いハンドリングです。

逆にいうと、直進安定性は低め。ロードバイク初心者がSANTILLO RB-01に初めて乗った場合、そのハンドリングのクイックさに少し戸惑いを覚える可能性があります。しかし、その感覚に慣れたなら、きっとサイクリングが楽しくなるでしょう。

また、RB-01の走行感は「重心が低め」な印象を受けました。つまり、走行時にふらつくことが無く、むしろタイヤが地面を這って進むような安定感があります。総じて、ハンドリング性能に関してもかなり高評価を与えて良いバイクに感じます。

漕ぎ出し「極端に軽い訳ではないが、十分に軽やか」

漕ぎ出しの軽さ4.1

漕ぎ出しに関しては見出しの通りです。車体重量は他の軽量バイクと比べて決して軽い方ではありませんが、ストレスはなく十分に軽やかな漕ぎ出しを感じます。車体剛性が高いので、スピードに乗ってからの加速も気持ちが良いです。

登坂性能「クライミングバイクには劣るが普通に登れそう」

登坂性能3.7

十分に坂も登れてしまうバイクです。もちろん、激坂においては他の軽量なクライミングバイクには劣りますが。

もがき「気持ちよく加速する」

もがき・スプリント性能3.7

ねじれ剛性が高く、かなり軽いこのバイクは、気持ちよい加速感を提供します。走行時のバイクの安定性も相まって、安心して気持ちの良いスプリントが行えるでしょう。

見栄え「刺さる人には痛いほど刺さる!民衆が振り向く」

見栄え5.0

歩道を歩く人達が振り向く。それはまるで車道にマセラティやマクラーレンが通った際に人が注目するかのような…それは仕方がありません。これほどまでにインパクトのあるデザインの自転車は珍しいでしょうから!

この独特なデザインには賛否が分かれるでしょうが、既存の「どのブランドのバイクも大体同じに見える」ようなロードバイク業界に飽き飽きしている人達にとっては非常に魅力的に映ることでしょう。また、民衆の注目を集めたい目立ちたがり屋、他の人と差別化を図りたいクールなローディ達にも深く刺さることでしょう。

総じて個人的な見栄えの評価は「最大」です。

その他「設計が甘い部分…?それも愛嬌」

完成車をよくよく観察すると、若干ですが、設計の甘いポイントも見つけることができます。例えば、ハンドルを左右に勢いよく大きく切りすぎた場合に、ヘッドチューブ部分に傷が付きます。通常走行時にそのようなアクションになることはありませんが、輪行などでガシガシ使いたい人にとってはややマイナスポイントです。

メカニックによると、組付けるコンポーネントによっては内部構造的にケーブルを通す際に若干加工が必要な箇所が出てくる場合があるそうです。しかしながら、ちゃんとしたショップに頼めば問題は起きないでしょう。また、他メーカーのバイクにもこのような「調整が必要な点」は少なからずあるのだといいます。多少は愛嬌です!

16:00〜「THE GARAGE」へ

SANTILLO「RB-01」への試乗が済み、小腹が空いてきた午後4時。試乗会場から数キロ離れた場所にあるSANTILLO CICLIのショールーム兼カフェである「THE GARAGE(ザ ガレージ)」にお邪魔することに。

「試乗会で配られたパンフレットをカフェに持参すると、コーヒーを一杯サービスしてくれる」というおまけにも後押しされ、私自身二度目の来店となりました。

SANTILLO CICLIのショールーム兼カフェ「THE GARAGE」

THE GARAGEでは、ブランド創設者でデザイナーのサンティッロ・フランチェスコさんの奥様が、本場仕込みのイタリア料理を提供してくれます。パスタ、ピザ、リゾット、サラミ、チーズ、ワインなど、メニューのどれを頼んでもこだわりの料理がいただけます。

サラミの盛り合わせが非常に美味しく、思わずサラミ一本をテイクアウト。奥様によると、「テイクアウトも気軽にお申し付けください」とのことで、ご厚意でバックポケットに入るようなコンパクトな梱包をしてくれました!

料理やコーヒー、ワインを頂きながらサンティッロのロードバイクを見ることができます。アクセスも良いので、是非訪れてみて下さい。

Santillo cicli & The Garage

〒248-0022 神奈川県鎌倉市常盤42−1

湘南モノレール「湘南深沢」駅から徒歩5分程度

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SANTILLO CICLIのブランドストーリー、RB-01のコンセプトやショールームへの訪問取材、ブランド創設者のサンティッロ氏へのインタビューが含まれるこちらの記事もおすすめです。

SANTILLO CICLIに関するご意見や記事に関するコメント、ご質問があれば、以下の「コメント欄」へ気軽にご意見を残していってください。


この記事を書いた人
ロード乗りデザイナーSho[ショウ]

自転車大好きなデザイナーで、自転車情報INNERTOPの運営者。平日の昼から千葉県内をロードバイクで爆走していることで知られる。

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