Amazonや楽天では、2万円から3万円程の安いロードバイクが売られてます。これって、大丈夫なんでしょうか?
ネットでは「安いロードバイクはダメだ」みたいに一方的に書いてる記事があるけど、本当はどうなの?
気になって実際に買ってみたので、その体験記をここに記す。
ネットにある2万円程のロードバイクでもいいですか?
凄い酷評だなw根拠はあるの?
..うん。実際に使って分かる、「これじゃない」感…
私は現在PINARELLO RAZHA(ラザ)というロードバイクに乗っている。定価で30万円程度の、エントリー向けカーボンバイクだ。かれこれロードバイクに乗り続けて3年以上か。そして、今回買った激安ロードバイクが以下のものとなる。
Amazonで販売されていた「ユーロバイク」という名前のロードバイク風自転車。価格は3万円程度。機械式のディスクブレーキが付いていて、見た目はご覧の通りハデハデ。
EUROBIKE(ユーロバイク) XC550-15 700x28C デザイン性の高い異型チューブフレーム Wディスクブレーキで制動力抜群 SHIMANO 3×7 21 SPEED ロードバイク レッド・ブラック (480mm(完成車))
ここからは、この「ロードバイク”風“の自転車」を実際に使って感じたことをリアルに記していく。
ロードバイクが家に届いた日
自宅に「ロードバイク風自転車」の箱が届いた時には、ワクワクが止まらなかった。Amazonから届いたその大きな箱をビリっと破り開ける。中を恐る恐る覗くと、ホイールなどが外され、白い発泡スチロールにぐるぐる巻にされた自転車が窮屈そうにこちらを見つめていた。
意外にも、簡単に組み立てができたことを覚えている。ホイールやハンドル、サドルを取り付けてブレーキの調整が済ませられればOK。初心者でもなんら問題は無いだろう。
そうやってものの数十分で組み上がった自転車は、思ったよりも立派な見た目をしていた。「普通に格好いいじゃないか…。」近づいて凝視してみれば、確かに塗装のムラや細かい傷なども多かったが、この価格だから、と諦めが付いた。
この新しい自転車にまたがった瞬間をイメージして期待を膨らませ、自転車を持ち上げた、その時だった。
重っ!!!
「えっ?ロードバイクって軽いはずだろ?」背中を流れる冷や汗を感じながら、その自転車の重さに驚きが隠せない。とはいってもその場に居るのは自分だけ。この衝撃を共有する相手も居なかった訳だが。
その重さは約16kg。通常のママチャリが18~20kg程度と考えると少しは軽いのだが、「ロードバイク」の幻想に期待を膨らませていた当時の俺にとっては、数字の重さ以上に重く感じた。この事実を飲み込むのに3分程度の時間を要した後、諦めムードでサドルにまたがる。そして、ハンドルに手を伸ばすのだが…
あれ?ハンドル遠っ!!!
もし今回買ったのが本物のロードバイクだったなら、非常に細かいサイズ展開の中から自分に最適なサイズの自転車を選んだだろう。まさに革靴を選ぶかのように、だ。しかし、この「ロードバイク風の自転車」にはたった1つのサイズしか用意されていなかった。フリーサイズ、ワンサイズだ。俺はキャップ帽を買ったのだろうか?帽子でさえも2つサイズがあったりする程なのに。
ロードバイクのサイズ選びは革靴選び同然
実際のことを話そう。ロードバイクのサイズ選び(フレームサイズ)は、革靴を選ぶよりも慎重に選ぶべきだ。身長はもちろん、手足の長さによっても最適なサイズは変わってくる。サイズの合わない自転車に乗るということは、ブカブカの革靴や、キツキツのヒールを履いて毎日通勤するのと同じだ。
靴なら買い換えれば済む話。もしくは返品して別のサイズを買えば良い。だが、もともと1つのサイズしか用意されていなかったらどうだ?…そんな状況が、目の前の現実が、突きつけられていた。
サイズの合わない自転車。しかも、地面にタイヤが張り付いているかのような重ーい自転車を目の前にし、ただその状況を頭の中で反復する。しかし、ここまで来たら乗らない訳には行かないのだ。重さとサイズは諦め、自宅の駐車場で試走することに。
ブレーキが重い!そんで、キーキーうるさい!
この自転車のブレーキは、良く分からんメーカーの「機械式ディスクブレーキ」だ。最近のディスクブレーキは「油圧式」が主流となり、ブレーキレバーの引きが軽くなっている。「機械式」はブレーキの引きが非常に重くなってしまうため、既に過去の遺産となっていた、そのはずなのに。
さらに、この重いブレーキレバーをギギギと引くと、ブレーキ部分から「キキキィィィィ!!」と爆音が。ギギギからのキキキぃだ。全く、たまったもんじゃない。
失望を抱きながらも、俺はこの自転車に数ヶ月乗り続けた。ブレーキの音鳴りは、ブレーキパッドを何度も何度も何度も調整し、なんとか解消。ハンドルの遠さも、慣れによってあまり気にならなくなってきた。
そして、4ヶ月が経過したある日のこと。
ハンドルと前輪がガタガタすんだけど???
その異変は、突然起こった。何をしたわけでもなくしれっと、気がついた時には乗るに耐えない状況になっていた。なぜだか分からないが、ハンドルを持ち上げると、フォーク部分がガタガタする。そして走行中も、明らかにハンドルの様子がおかしいのだ。
ベアリングが潰れていた
後に分かったことだが、この症状が起きたのはフレームとフォークを繋ぐコラム部に仕込まれたベアリングの不具合が原因だった。ベアリングを挟み込んでいる部分、金属製のベアリング受けが、ボロボロに湾曲していたのだ。
ベアリングを掃除したりしてみたが、曲がった金属パーツにベアリングボールを入れてもスムーズに回るはずも無く。ベアリングを交換するにしても、ノーブランドなのでどの規格のベアリングなのかも分からない。「打つ手は、もう無い」
そうして、この自転車は短い生涯を遂げたのだった…。
あなたは遠回りをしたいか?近道をゆくか?
可能な限り安い価格で「ロードバイク」と呼べる自転車を購入したい。安物買いの銭失いにはなりたくない。そんなあなたにとって、2,3万円のロードバイク風自転車を買うことは、非常にもったいない回り道だ。
時間とお金、両方でだ。今回、3万円という出費で俺が得られた経験は、前段で記した。あなたがもう一度同じ経験する必要は無いのではないか、と思う。今あなたに問いたいのは、「遠回りをするか、近道を行くか」の簡単な2択だ。
安物買いの銭失いにならないための最低条件
可能な限り安い価格で「ロードバイク」と呼べる自転車を購入する方法。安物買いの銭失いにならないための最低条件をお伝えしたい。ここで言うことは、つまり、「最低限ロードバイクと呼べる自転車を見抜く方法」だ。その条件は、以下のたった2つだけ。
1,製造者は、ロードバイクブランドか?
2、3万円で買えるロードバイク風自転車は、良く分からんメーカーばかりだ。既に「ロードバイクメーカー」として認知されているブランドのロードバイクを買ったとしたら、それだけで条件の60%はクリアと言っていいだろう。
はっきり言おう。GIANT(ジャイアント)、MERIDA(メリダ)、FELT(フェルト) これら3つのブランドから選べば間違い無い。この3つは、現状日本で手に入るロードバイクの中で最も安く、かつ最低限ロードバイクと呼べる自転車を製造しているメーカーだ。
実際のところ、ロードバイクメーカーとして認知されているブランドは非常に沢山ある。最低でも60種類以上。実際は、世界にはまだ知らない優秀なロードバイクメーカーがあるが、初級者の人たちがわざわざそこに手を出すのは博打打ち同然の所業だ。
参考までに、日本でも知られているほぼ全てのロードバイクメーカー(60種類以上)は以下の記事にまとめている。どこの国のメーカーか?特徴や歴史なども織り交ぜて紹介しているので読み応えは抜群なはずだ。
2,これはロードバイク用のパーツなのか?
本物のしっかりしたロードバイクには、ロードバイク専用のパーツが使われているのをご存知だろうか。ロードバイクに使用されているパーツは、ママチャリとも、マウンテンバイクとも全く異る。
2,3万円程度のロードバイク(風)には、Tourney(ターニー)というグレードの、マウンテンバイク用の廉価パーツが使われている場合がほとんど。ロードバイク専用のパーツで、最低限度の性能が保証されているパーツが、シマノ製のSORA(ソラ)またはCLARIS(クラリス)だ。
ロードバイク用のパーツとして最も安価なグレードがCLARIS(クラリス)、その1つ上の、初級者向けのパーツがSORA(ソラ)。この2つ意外にもロードバイク用のパーツ(コンポーネント)にはいくつかのグレードがあるが、10万円程度のロードバイクにこれ以上のパーツが使われることはほぼあり得ない。詳しくは、以下の記事にまとめている。
例えば、どの自転車がロードバイクと呼べるの?
最低限の条件をクリアしたロードバイクをいくつか紹介していこう。快適なサイクリングや長距離の移動をしたい場合は、是非、ここで紹介するグレード、またはそれ以上のグレードのロードバイクを選ぶことを推奨する。
GIANT(ジャイアント) CONTEND 2
GIANT(ジャイアント) 2020モデル CONTEND 2 [GIANT公式]
84,000円
世界最大のロードバイクメーカー、GIANT(ジャイアント)のロードバイク。このブランドのロゴを街中で見かけることも多いだろう。台湾に巨大な工場を所有しているため、圧倒的な量的コストカットでコスパの高いロードバイクを低価格で提供してくれる。100万円以上するプロのレーシング用ロードバイクも製造しており、低価格からプロ向けまでどのグレードをとっても機能性が高く評価されている。
ロードバイク界の覇者が作る最低価格のロードバイクが「コンテンド2」だが、その性能は価格の殻を完全に破り捨てたものとなっている。
MERIDA(メリダ) RIDE80
メリダ RIDE80 2019 MERIDA ライド80[FALCON BIKE]
74,167円
MERIDA(メリダ)も、ジャイアントと同じく台湾発祥のロードバイクメーカー。高品質なロードバイクを大量に生産して、お手軽な価格で販売してくれる。そんなメリダの最も価格が低いロードバイクが「ライド80」だ。価格は8万円程だが、見た目も非常に格好良い。ロードバイクとして十分に誇れる自転車だ。街中の多くの自転車店で購入できるので、試乗などしてみると違いが分かるだろう。
FELT(フェルト) FR60
FELT (フェルト) 2020モデル FR60[クラウンギアーズ]
88,815円
FELT(フェルト)は米国の自転車メーカー。国内でも海外でも、ロードバイクに乗っている多くの人が知っているブランドで、元々はカーボンファイバーを用いたエアロロードバイクの製造技術に秀でている。上位の高級モデルで培われた技術はエントリー向けのバイクにも惜しみなく注がれており、日本で購入できる最安レベルのロードバイクとしては非常に完成されたものとなっている。
まとめ
ネットにある2万、ないし3万円程のロードバイクはおすすめしない。(買って後悔している自分が、確かにここにいる)
最低限それを「ロードバイク」と呼ぶためには、ロードバイクメーカーとして知られているブランドで、ロードバイク用のパーツを使っている必要がある。
この記事を読んでどう思っただろう。是非、下のコメント欄にあなたの意見を残していって欲しい。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。ロードバイクは決して安い買い物では無いからこそ、悔いのない決断をしてもらいたいと願うばかりだ。以下の記事も参考になると思うので、是非見ていただきたい。
コメント
自分はデカトロンの一番安いものを購入。
使っている鉄が違うと思うが、記事に書かれているような重さはなくリアキャリアをつけても10数㎏程度なので、MTB乗りの自分には「軽い」を感じられた。
また、自転車はあくまで移動の手段と位置しているので、スポーツとして乗るなら話は変わるが、有名メーカー程のスペックは不要!!!
むしろ、フロントがシングルギアなので整備はしやすくチェーンは安い!
たまに、レーパン履いて高いロードに乗っている人を抜き去って楽しんでもいるけ。
結論としては・・・自転車なんて、適度に安いものを購入して、自分の体を鍛えてしまえば高い物よりも早く走れる。
高い物を購入するのは嗜好品として楽しんでいるだけ。